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クラウドPBXとオンプレミス型PBXの大きな違いは、「PBX機能をクラウド上で利用するか」、「自社の拠点内に機器を設置して運用するか」です。
クラウドPBXは社外利用や増設に対応しやすく、オンプレミス型PBXは個別設計や自社管理に向いています。ただし、費用や通話品質は利用人数、既存設備、ネットワーク、必要な機能によって変わるため、単純な優劣だけでは決められません。
この記事では、両者の仕組みを確認したうえで、初期費用・継続費用・導入・通話品質・利便性・拡張性・保守・セキュリティの8項目を比較します。自社の電話環境に合う方式を選ぶための判断材料としてお役立てください。
監修者
登 雄三(のぼり ゆうぞう)
保有資格:工事担任者(AI・DD総合種)/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
最初に、クラウドPBXとオンプレミス型PBXの主な違いを一覧で確認しましょう。
表の内容は一般的な傾向であり、サービス・機器構成・既存設備によって結果は変わります。特に費用を比べるときは、導入時の金額だけでなく、月額料金、保守、機器更新、増設まで含めて確認することが重要です。
オンプレミス型PBXとは、PBX機能を担う機器を自社のオフィス・施設内に設置し、内線や外線を管理する電話システムです。一般的なビジネスフォンでは、この機器を「主装置」と呼ぶことがあります。
PBXは「Private Branch Exchange」の略で、日本語では構内交換機と呼ばれます。外線からの着信を複数の電話機へ振り分けるほか、内線通話、保留、転送などを制御します。
オンプレミス型には、電話回線と専用電話機を使用する構成のほか、社内LANやIP電話機を利用するIP-PBXもあります。オンプレミス型IP-PBXは社内LANなどのIPネットワークを利用しますが、インターネットを経由するかどうかは、使用する回線や接続構成によって異なります。
IP-PBXの設置場所や必要機器、クラウドPBXとの違いは、IP-PBXとクラウドPBXの違いを解説した記事で詳しく確認できます。
オンプレミス型PBXの主なメリットは、自社の業務や既存システムに合わせて個別設計しやすいことです。
基幹システムや受付設備、構内放送などとの連携が必要な場合も、対応する機器やベンダーを選び、個別に構成できる可能性があります。
また、すでに利用できるPBXや配線がある場合は、既存設備を残すことで入れ替え範囲を抑えられることがあります。ただし、機器の対応状況、収容台数、保守期限などの確認が必要です。
オンプレミス型PBXのデメリットは、機器の設置、配線、設定、保守、更新を自社側で計画する必要があることです。
電話機を増やす場合は、電話機だけでなく、PBXの収容能力、空きポート、ユニット、配線なども確認します。構成によっては、増設工事やPBXの変更が必要です。
自社内で運用管理を行わない場合は、保守業者との契約や、障害時の連絡体制もあらかじめ決めておく必要があります。
クラウドPBXとは、事業者がクラウド上で提供するPBX機能へ接続し、内線・外線・転送などを利用する電話サービスです。
オフィス内に従来型のPBXを設置せずに利用できる構成が多く、スマートフォン、パソコン、IP電話機などを内線端末として使用できるサービスもあります。
ただし、利用できる電話番号、端末、機能、必要機器はサービスによって異なります。電話回線や既存電話機を接続するために、ゲートウェイやルーターなどを設置する場合もあるため、クラウドPBXは必ず機器・工事が不要になるわけではありません。
基本的な仕組みや構成については、クラウドPBXの仕組みを基礎から詳しく解説しています。
クラウドPBXの主なメリットは、社外利用、拠点追加、端末の増減に対応しやすいことです。
会社の代表番号をスマートフォンで受けられる構成であれば、担当者が外出中でも電話対応しやすくなります。また、拠点間を内線化できるサービスでは、複数拠点の電話環境をまとめて管理できる場合があります。
ただし、利用できる機能や端末数、設定変更の方法はサービスごとに異なるため、自社が必要とする運用に対応しているかを確認しましょう。
クラウドPBXのデメリットは、通話に使用するネットワークやサービス事業者の仕様に影響を受けることです。
インターネット接続を利用する構成では、回線の混雑、Wi-Fi環境、ルーター、端末の状態などが通話に影響することがあります。また、クラウドPBXの月額料金とは別に、電話回線、インターネット回線、端末などの費用が必要になる場合があります。
緊急通報や特殊な電話機・通報装置の利用可否はサービスによって異なります。現在使用している設備を含め、契約前に提供事業者へ確認してください。
クラウドPBXとオンプレミス型PBXを選ぶときは、初期費用だけでなく、運用方法や将来の変更まで含めて比較することが重要です。
ここからは、両者の違いを8項目に分けて詳しく確認します。
初期費用は、一般的にクラウドPBXのほうが抑えやすい傾向があります。
オンプレミス型PBXでは、PBX本体、電話機、ユニット、設置工事、配線工事、設定などの費用が必要です。既存設備を流用できる場合は費用を抑えられますが、PBXの容量や機器の対応状況を確認しなければなりません。
クラウドPBXはPBX本体を購入しない構成が多いものの、初期設定、電話番号の手配、ネットワーク整備、ゲートウェイ、IP電話機などの費用がかかる場合があります。
初期費用を比較するときは、サービス利用料だけでなく、端末・回線・設定・工事を含む導入総額を確認しましょう。
クラウドPBXの費用項目を詳しく確認したい方は、クラウドPBXの料金相場と費用内訳を解説した記事も参考にしてください。
長期的な費用は、利用期間、人数、既存設備、保守契約によって有利な方式が変わります。
クラウドPBXでは、基本料金、利用者・IDごとの料金、番号・機能のオプション料金などが継続して発生する場合があります。一方で、クラウド側の設備保守や更新が月額料金に含まれるサービスもあります。
オンプレミス型PBXでは、クラウドサービスのようなID単位の月額料金が発生しない構成もありますが、電話回線、保守、修理、機器更新、増設工事などの費用を見込む必要があります。
「月額料金があるか」だけで比較せず、予定する利用期間の総コストで判断してください。
導入のしやすさは、PBX本体の設置を省きやすいクラウドPBXが有利になりやすい項目です。
オンプレミス型PBXでは、現地調査、機器選定、PBXの設置、電話配線、各電話機の設定などを行います。既存の電話回線や配線を変更する場合は、関係する事業者との調整も必要です。
クラウドPBXでは、サービス契約、アカウント設定、アプリの導入などで利用を始められる場合があります。ただし、電話番号の取得・移行、回線工事、ネットワーク整備、ゲートウェイ設置が必要な構成では、準備期間を見込まなければなりません。
どちらを選ぶ場合も、現在の電話番号、回線、PBX、配線、FAXや通報装置などを先に確認すると、切り替え時の追加作業を把握しやすくなります。
通話品質は、方式だけでなく回線、ネットワーク、端末、配線、サービス設計によって変わります。
オンプレミス型PBXは、音声用の回線や社内ネットワークを自社環境に合わせて設計・管理しやすい点が特徴です。ただし、機器の劣化、配線不良、回線障害などがあれば、通話に影響します。
インターネット接続型のクラウドPBXでは、通信の混雑、Wi-Fiの電波状況、ルーター、スマートフォンなどの状態が音声品質へ影響することがあります。一方、閉域接続や音声通信を考慮したネットワーク構成を選べるサービスもあります。
音が途切れる、遅延するなどの原因と対策は、クラウドPBXの音質・通話品質と改善策を解説した記事で詳しく確認できます。
社外やテレワークでの利用は、クラウドPBXのほうが対応しやすい傾向があります。
スマートフォンやパソコンに対応するサービスであれば、外出先や自宅から会社番号で発着信したり、離れた拠点の社員同士で内線通話をしたりできる場合があります。
オンプレミス型PBXでも、専用アプリ、VPN、モバイル連携などを組み合わせることで社外利用に対応できる場合があります。ただし、追加機器、ライセンス、ネットワーク設定などが必要になる可能性があります。
社外利用を重視する場合は、発信番号、着信方法、内線、保留・転送、通話録音、スマートフォンの通信料など、実際の運用に必要な機能を確認しましょう。
拡張性とカスタマイズ性は、同じ意味ではありません。利用者や拠点を増やす拡張性はクラウドPBX、個別要件に合わせるカスタマイズ性はオンプレミス型PBXが有利になりやすいと考えられます。
クラウドPBXは、管理画面や契約変更でID・端末を追加できるサービスがあり、増員や拠点追加へ対応しやすい点が特徴です。ただし、追加できる機能は提供事業者のサービス範囲に限られます。
オンプレミス型PBXは、対応機器や開発・工事が必要になる一方、自社固有の運用へ合わせられる可能性があります。ただし、PBXの容量を超える場合は、ユニット追加や機器入れ替えが必要です。
PBX設備の保守負担を減らしやすいのは、クラウドPBXです。
クラウド側のサーバやPBX機能は、基本的にサービス事業者が保守・更新します。そのため、自社でPBX本体の故障対応や更新計画を立てる負担を減らせます。
ただし、スマートフォン、IP電話機、パソコン、社内LAN、Wi-Fi、ルーターなどは利用企業側で管理する場合があります。障害時に、サービス、回線、ネットワーク、端末のどこに原因があるかを切り分ける体制も必要です。
オンプレミス型PBXでは、自社または保守業者が機器、設定、配線を管理します。社内に担当者がいない場合は、対応時間、出張費、代替機、保守対象などを契約前に確認しましょう。
セキュリティは、クラウド型とオンプレミス型のどちらが無条件に安全というものではありません。
オンプレミス型PBXでは、自社の方針に合わせてネットワーク、機器、アクセス権限を管理しやすい一方、脆弱性対応、設定変更、ログ確認、機器更新などを自社または保守業者が継続して行う必要があります。
クラウドPBXでは、クラウド側の設備をサービス事業者が管理しますが、利用企業側にもID・パスワード、管理者権限、スマートフォンやパソコン、退職者のアカウントなどを管理する責任があります。IPAのクラウドサービスに関する解説でも、セキュリティは事業者と利用者が役割・責任を分担し、利用者側でもID・パスワードを管理する必要があると説明されています。
サービス選定時は、認証方法、通信・保存データの保護、アクセス制限、ログ、障害時の対応、サポート窓口、事業者と利用企業の責任範囲を確認しましょう。
想定されるリスクと対策は、クラウドPBXのセキュリティと安全対策を解説した記事で詳しく紹介しています。
どちらを選ぶべきかは、社外利用・将来の増減を重視するか、個別設計・自社管理を重視するかで判断します。
費用だけで決めると、必要な機能が不足したり、導入後の増設・保守に追加費用がかかったりする可能性があります。まずは次の条件を整理しましょう。
オンプレミス型PBXは、自社固有の要件が多く、機器やネットワークを管理できる体制がある企業に向いています。
ただし、既存設備を使い続ける場合も、機器の対応状況、保守期限、故障時の代替手段を確認してください。
クラウドPBXは、働く場所や人数の変化へ柔軟に対応したい企業に向いています。
一度にすべてをクラウド化するのが難しい場合は、既存PBXを残しながら一部の拠点や部門から移行する方法もあります。詳しくは、クラウドPBXと既存PBXを併用する方法をご確認ください。
ただし、併用できる構成や必要機器は、現在のPBX・回線・電話番号・サービスによって異なります。
クラウドPBXとオンプレミス型PBXは、サービス名や機器代だけを比較しても、自社に合う方式を判断できない場合があります。
現在の電話番号、回線、PBX、端末、同時通話数、ネットワーク環境を確認し、導入後の運用まで含めて比較することが重要です。
電話環境をまとめて比較したい方へ
OFFICE110では、クラウドPBXとオンプレミス型PBXのどちらが適しているか、現在の設備とご希望を確認しながらご案内します。
既存設備の併用や段階移行が可能かも含め、現在の機器・回線・電話番号を確認したうえで比較しましょう。
クラウドPBXとオンプレミス型PBXの最大の違いは、PBX機能をクラウド上で利用するか、自社の拠点内に機器を設置して管理するかです。
社外利用、複数拠点、増員への対応を重視する企業にはクラウドPBX、個別設計や自社管理を重視する企業にはオンプレミス型PBXが向いています。ただし、費用や通話品質は方式名だけで決まりません。
現在の電話番号、必要な端末数・同時通話数、既存PBX、回線、ネットワーク、保守体制、将来の増設予定まで含めて比較しましょう。
自社に合う電話環境が分からない場合は、OFFICE110へご相談ください。既存設備を残せるか、クラウドへ移行するか、必要な端末や回線、導入費用・月額費用、切り替え手順を整理しながら検討できます。
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