ポストスクリプトとは？仕組み・用途・エラー対処法まで徹底解説

「知っておきたい便利機能紹介」記事一覧 更新日: 2025年11月14日

ポストスクリプトとは？仕組み・用途・エラー対処法まで徹底解説

複合機の導入を検討している方の中には、「ポストスクリプトって本当に必要？」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

実は、ポストスクリプト対応の複合機と非対応の複合機では、同じデータを印刷してもレイアウトのズレや画質の劣化が起こる可能性があります。そのため、原稿どおりのデータを高品質に印刷したい企業にとって、ポストスクリプトは無視できない検討ポイントです。

本記事では、ポストスクリプト（PostScript）の基本と主なメリットを整理したうえで、どのような企業にこの機能が必要なのかを詳しく解説します。

さらに、エラー発生時の対処法や、おすすめのポストスクリプト対応複合機もご紹介しますので、導入をご検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

ポストスクリプト（PostScript）とは？

ポストスクリプト（PostScript）とは、プリンターに「どの位置に・どのような文字や図形を印刷するか」を細かく指示するためのページ記述言語です。

「ポストスクリプト（PostScript）」は、日常生活ではあまり耳にしない用語のため、どのようなものかイメージしにくい方も多いと思います。

ここではまず、ポストスクリプトの基本と、非対応の場合に何が変わるのかを整理しておきましょう。

ポストスクリプトとは

ポストスクリプト（PostScript）とは、アドビ（Adobe）社が1984年に開発した代表的なページ記述言語

ページ記述言語とは、プリンターに対して「この色で、この形で、この位置に印刷する」といった描画指示を出すためのプログラミング言語の一種です。ポストスクリプトはその中でも代表的な存在で、略して「PS」と呼ばれることもあります。Adobe PostScriptの詳細はAdobe公式サイトでも確認できます。

文字や画像を印刷するとき、ポストスクリプト対応のプリンター・複合機であれば、データにもとづいてレイアウトや線の太さ、フォント形状などを精密に再現できます。

現在では、多くのレーザープリンターや業務用複合機がポストスクリプトに対応しています。

ポストスクリプト非対応との違い

ポストスクリプト非対応のコピー機・複合機では、原稿データどおりのレイアウトや画質を再現しにくく、印刷結果に差が出やすくなります。

デザイン画や図面、フライヤーなどをポストスクリプト非対応の環境で印刷すると、解像度や処理方式の違いから、拡大・縮小時に画像が荒れたり、文字がぼやけたりすることがあります。

このように、ポストスクリプトを使わない場合は、「画面上の原稿データ」と「実際の印刷物」にズレが生じる可能性があります。

特に、会社案内・カタログ・広告など、高品質な印刷結果が求められる企業にとっては、ポストスクリプト対応は重要なポイントと言えるでしょう。

ポストスクリプトの4つのメリット

ポストスクリプト対応複合機を導入すると、画質・速度・互換性・フォント表現など、印刷品質と業務効率の両面で多くのメリットが得られます。

ポストスクリプトを活用することで得られる主なメリットは、次の4つに整理できます。

ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

ベクター式で高品質な印刷が可能

ポストスクリプトでは、画像や文字をベクター形式で扱えるため、拡大・縮小してもなめらかで高品質な印刷が可能です。

ベクター形式とは、線や図形を「点と点を結ぶ数値データ」として記録・再現する方式です。この方式では、拡大・縮小しても文字の輪郭がギザギザになりにくく、画像も荒れにくいという特長があります。

処理速度がPCのスペックに左右されない

ポストスクリプト対応プリンターでは、印刷データの処理をプリンター側が行うため、PCの性能に依存しにくいのが特長です。

ポストスクリプト対応プリンターでは、印刷用の画像処理をパソコン側ではなくプリンター側のコントローラーが担当します。そのため、印刷速度は「パソコンの性能」ではなく「プリンター本体の処理能力」に依存します。

大量印刷が発生する現場や、日常的にグラフィック系の印刷を行う現場では、業務効率の向上に直結します。

すべてのOSに対応

ポストスクリプトはMacだけでなくWindowsにも対応しているため、異なるOS同士でも印刷物の再現性を高めやすいことが特長です。

ポストスクリプトに対応した環境であれば、OSが違っても印刷結果のイメージを揃えやすくなります。

特にMacにはポストスクリプトが標準的に組み込まれているため、Mac環境が多い職場では、プリンターや複合機もPS対応のものを選ぶと運用がスムーズです。

フォントの品質・自由度が高い

ポストスクリプトは「PostScriptフォント」をはじめとした高品質フォントに対応しており、文字の表現力と読みやすさを両立できます。

ポストスクリプト環境では、独自のPostScriptフォントに対応しているほか、「TrueType」「OpenType」などの一般的なフォント形式にも幅広く対応しています。

ポストスクリプトは、フォントの品質と自由度が高い印刷環境を求める企業にとって、非常に相性の良い仕組みと言えるでしょう。

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ポストスクリプト対応の複合機が必要な会社は？

ポストスクリプト（PostScript）はすべてのオフィスに必須ではありませんが、業種によっては「対応していないと困る」ケースがあります。

ポストスクリプト対応の複合機は、特に画質やレイアウトの再現性が重要な業務で効果を発揮します。ここでは、ポストスクリプト対応複合機の導入を優先して検討したい会社のタイプを整理します。

デザイン系の会社

デザイン関連の制作物を扱う会社では、ポストスクリプト対応の複合機はほぼ必須と言える存在です。

コピー機がポストスクリプト（PostScript）に対応していない場合、パソコン上では同じように見えるデータでも、出力すると位置や色味などが微妙に異なる印刷物になってしまう可能性があります。

たとえば、数mm単位でレイアウトがずれたり、カラー指定どおりに色が再現されなかったりすることもあります。こうした差異が積み重なると、納品物の品質にバラつきが出てしまい、クライアントとの信頼にも影響しかねません。

こうした理由から、デザイン事務所や広告代理店、制作会社などのデザイン関連の職種では、ポストスクリプト対応の複合機を選んでおくことを強くおすすめします。

設計・建築系の会社

設計・建築系の会社でも、ポストスクリプト対応の複合機を導入するメリットは非常に大きくなります。

設計・建築系の会社でポストスクリプト対応複合機を使うことで、次のような点で印刷品質を高められます。

細部まで読み取りやすい図面を出力できることで、現場での確認や打ち合わせがスムーズになり、作業効率の向上にもつながります。

Macを使用している会社

Macをメイン環境として使っている会社も、ポストスクリプト対応のプリンター・複合機を選ぶことをおすすめします。

Macにはポストスクリプト（PostScript）が標準的に搭載されており、ほかのページ記述言語との互換性が低いケースがあります。そのため、ポストスクリプトに非対応のプリンターでは、そもそも正しく印刷できない、あるいは印刷自体ができないことも少なくありません。

社用PCとしてMacを使っているオフィスでは、ポストスクリプト対応の複合機を選んでおくと、日々の印刷をより安定して運用できます。

ポストスクリプトエラー発生時の対処法まとめ

ポストスクリプト（PostScript）エラーが出たときは、「ファイル・アプリ・複合機・システム」のどこに原因があるかを切り分けることが解決への近道です。

ここでは、ポストスクリプトエラーが発生したときに試したい対処法を、ステップごとに整理してご紹介します。

①エラーの原因を把握する

まずは、どこでエラーが発生しているのかを切り分けて原因を特定することが重要です。

ポストスクリプトエラーが発生した場合は、ほかのファイルやアプリから印刷できるかどうかを試してみましょう。

ファイルに問題がありそうな場合は、元のファイルの内容を別ファイルにコピー＆ペーストして、新しいファイルとして保存し、再度印刷を試してみてください。

アプリ側が疑われる場合は、そのアプリを一度アンインストールして再インストールする、もしくはバージョンアップを行うことで改善するケースもあります。

②複合機でエラーが表示される場合

複合機本体にエラーが表示されている場合は、本体側のトラブルシューティング機能を活用しながら原因を切り分けていきましょう。

複合機側でエラーが表示された場合、多くの機種では同時にトラブルシューティングを実行するかどうかの案内が表示されます。まずは案内に従ってトラブルシューティングを実行し、改善するか確認しましょう。

複合機側のエラー原因としては、次のようなケースが考えられます。

トラブルシューティングを行っても改善が見られない場合は、サポートセンターや保守契約している会社に相談し、詳細な診断を依頼することをおすすめします。

③システムエラーが発生している場合

異なるアプリから印刷しても同じポストスクリプトエラーが出る場合は、システム全体に問題がある可能性があります。

複数のアプリ・ファイルで同様のエラーが発生する場合、次のようなシステムレベルのエラーが疑われます。

これらのエラーを解消するには、次のような対処法を試してみてください。

上記を試しても改善しない場合は、システム側のより専門的な対応が必要な可能性があります。サポートセンターや保守契約先の技術担当者に状況を詳しく伝え、指示を仰ぐようにしましょう。

ポストスクリプト対応のおすすめの複合機3選

ポストスクリプト（PostScript）対応複合機は、画質やレイアウト再現性を重視するオフィスにとって重要な選択肢です。

ただし、対応機種は数多くあり、「どれを選べばよいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

ここでは、OA機器の総合販売を手掛けるOFFICE110が厳選した、ポストスクリプト対応（オプション含む）のおすすめ複合機3機種をご紹介します。

Apeos C2360（富士フイルム）

Apeos C2360は、A3対応でありながら設置スペースを取りにくいコンパクト設計と、高精細なカラー画質を両立した1台です。

富士フイルムのApeos C2360は、A3対応機でありながら「幅590×奥行き659×高さ771mm」の省スペース設計が特長です。小規模オフィスや設置スペースに制約がある事務所でも導入しやすいサイズ感です。

本体の高さが比較的低めなため、窓口業務で座ったまま操作したり、車椅子利用の方でも操作しやすいレイアウトにしやすい点もメリットです。

また、富士フイルムはもともとカラー精度の高さに定評があり、この機種もLEDプリントヘッドによる「1200×2400dpi」の高解像度出力に対応しています。ガタつきやすい斜め線や文字のアウトラインも、「イメージエンハンス処理」によってなめらかに再現できます。

画質にこだわりたい企業や、コンパクトかつ高画質な複合機を探している企業には、オプションでポストスクリプト対応が可能なApeos C2360がおすすめです。

iR-ADV C3926F（Canon）

iR-ADV C3926Fは、セキュリティ設定を簡単に一括構成できる「セキュリティ設定ナビ」を搭載した、安心運用に強いA3カラー複合機です。

CanonのiR-ADV C3926Fは、「セキュリティ設定ナビ」により、複雑になりがちなネットワークセキュリティ設定を、最大4つの質問に答えるだけで一括構成できる点が特長です。

IT担当者が常駐していないオフィスでも、ガイドに沿って設定を進めることで、自社の運用に合ったセキュリティをかんたんに構築できます。

また、原稿読み取りガラスには「防汚コートガラス」を採用しており、ゴミや修正液・糊などが付着しにくく、スジが入った印刷を防ぎやすい構造になっています。万が一スジが入ってしまっても、補正機能によってきれいに仕上げられるため、再スキャンの手間を減らせる点も実務上のメリットです。

ポストスクリプトはオプション対応のため、導入時には別途申し込みが必要です。

セキュリティに不安がある企業や、スジや汚れによる再スキャンのムダを減らし、生産性を高めたい企業におすすめの1台です。

BP-60C26（SHARP）

BP-60C26は、ポストスクリプトを標準搭載しつつ、クラウド連携にも優れたA3カラー複合機です。

SHARPのBP-60C26は、ポストスクリプトが標準搭載されている点が大きな特長です。オプション費用を追加で支払うことなく、PS対応環境を構築できます。

さらに、GoogleDrive・OneDrive・Dropbox など各種クラウドサービスとの連携機能も充実しており、スキャンデータを直接クラウドへアップロードしたり、クラウド上のデータをそのままプリントアウトすることも可能です。

これにより、データを毎回パソコンへ保存してから印刷する必要がなくなり、業務フローの簡略化やテレワーク環境での文書共有にも役立ちます。BP-60C26の詳細な仕様はシャープ公式サイトでも確認できます。

ポストスクリプト導入のオプション費用を抑えたい企業や、クラウド連携を活用して業務効率化・テレワーク推進を進めたい企業に、とても相性の良い1台です。

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また、OFFICE110では複合機の販売だけでなく、設置・保守契約・アフターフォローまで一貫対応しているため、複数の専門業者に個別依頼する手間を省けます。新品から中古まで幅広いメーカー・機種を取りそろえており、ポストスクリプト対応を含めた「ちょうど良い1台」が見つかりやすいことも強みです。

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まとめ

ポストスクリプト（PostScript）は、複合機に搭載することで印刷品質やレイアウト再現性を高め、異なるOS環境でも同じ印刷物を共有しやすくするページ記述言語です。

ポストスクリプト対応の複合機を導入することで、高精細な印刷・OSをまたいだ安定した出力・フォント表現の自由度向上といったメリットが期待できます。

導入を特におすすめしたいのは、次のような会社です。

特に、Illustratorなどのアドビ製ソフトを使って納品物を制作するデザイン系の会社では、印刷結果がそのまま品質に直結するため、ポストスクリプト対応はほぼ必須と考えてよいでしょう。

自社に合ったポストスクリプト対応複合機選びに迷ったときは、私たちOFFICE110にぜひご相談ください。