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2026年10月1日から、すべての事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)を防止するための措置が義務付けられます。「具体的に何を準備すればいい?」「電話対応ではどこまで対策が必要?」と、対応に迷っている企業も多いのではないでしょうか。
ただし、今回義務化されるのは通話録音そのものではありません。企業には、カスハラへの方針の明確化や相談体制の整備、発生時の事実確認など幅広い対応が求められます。その具体的な対処方法のひとつとして、厚生労働省の指針では顧客等とのやり取りを録音・録画することも示されています。
こうした背景から、電話で顧客対応する機会が多い企業では、通話録音も検討しておきたいカスハラ対策のひとつです。とくに、オフィスの固定電話だけでなく、営業担当者や訪問スタッフが社用携帯で顧客とやり取りしている場合は、実際にどの電話で顧客とやり取りしているのかまで確認しておくことが重要です。
そこで本記事では、カスハラ対策の義務化によって企業に求められる対応を整理したうえで、通話録音の位置づけや、固定電話・社用携帯・クラウドPBXそれぞれの考え方を解説します。さらに、社用携帯の通話を録音する方法や、法人向け通話録音サービスを導入するときの確認ポイントまで詳しく見ていきます。
最後まで読めば、法改正への対応だけでなく、自社の電話環境ではどこまで対策すべきかを具体的に整理できるようになります。
この記事の目次
監修者
旗島 洸司(はたしま こうじ)
保有資格: ソフトバンククルー/ドットコムマスター/ITパスポート
OFFICE110にて21年以上にわたり法人向け通信インフラの導入を支援。ソフトバンク・NTT西日本で全国2位の営業実績を持ち、業界のスペシャリストとして活躍する。特に法人携帯の分野では、提案力とサポート力を強みに、500超えの企業から支持されている。
2026年10月1日から、すべての事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)を防止するため、雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けられます。施行後は、法律と厚生労働省の指針に沿って、自社に必要な方針や相談体制などを整えておかなければなりません。
ただし、義務化されるのは「カスハラを完全になくすこと」や「すべての顧客対応を録音すること」ではありません。従業員をカスハラから守るための方針や相談体制、発生時の対応など、必要な仕組みを整え、実際に機能する状態にしておくことが事業主に求められます。
カスハラ対策が義務化される根拠となるのは、2025年6月11日に公布された「労働施策総合推進法等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)」です。さらに、2026年2月26日には事業主が講じるべき具体的な措置を示す「カスタマーハラスメント防止指針」が公布され、改正法の施行と同じ2026年10月1日から適用されます。
具体的には、カスハラに対する会社の方針を明確にすること、相談できる体制を整えること、発生時に事実関係を確認して適切に対応することなどが求められます。必要な措置は複数あるため、詳しくは「企業に義務付けられるカスハラ対策を10項目で整理」で整理して解説します。
今回のカスハラ対策義務化は、大企業だけでなく、中小企業を含むすべての事業主が対象です。企業規模によって施行日が分けられているわけではなく、2026年10月1日から一斉に適用されます。
また、対象となるのは特定の業種だけではありません。小売・飲食など顧客と対面する機会が多い業種はもちろん、電話で顧客対応する企業や、取引先とのやり取りが中心のBtoB企業も例外ではありません。
一方で、必要な対策の内容まで、すべての企業でまったく同じになるわけではありません。カスハラが発生する場面や顧客との接点は業種・業態によって異なるため、自社ではどこで顧客とのやり取りが発生し、どのようなカスハラが想定されるのかを確認したうえで、実態に合った対策を整えることが重要です。
カスハラ防止措置を講じていないこと自体に対して、直ちに20万円以下の過料が科されるわけではありません。ただし、カスハラ防止措置は法律上の義務となるため、「直接的な罰金がないから対策しなくてもよい」ということではありません。
法令の履行を確保するため、状況に応じて次のような行政対応や過料の仕組みがあります。
ここで注意したいのは、「カスハラ対策をしていない=直ちに20万円以下の過料」ではないという点です。20万円以下の過料は、行政から法律に基づく報告を求められた際に、報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合に定められています。
そのため、企業としては罰則の有無だけで判断するのではなく、2026年10月1日までに自社で必要なカスハラ対策を確認し、実際に運用できる状態まで整えておくことが重要です。
参考: 厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」 / 厚生労働省「カスタマーハラスメント等の対策が義務化されます」 / e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」
カスハラ対策を進めるうえで、まず確認しておきたいのが「どのような言動がカスハラに当たるのか」という判断基準です。顧客や取引先から厳しい意見や苦情を受けたからといって、そのすべてがカスハラになるわけではありません。
厚生労働省の指針では、職場におけるカスハラを3つの要素をすべて満たすものと定めています。企業としては、正当な申入れまでカスハラとして扱わないよう、判断基準を正しく理解したうえで対応することが重要です。
職場におけるカスタマーハラスメントとは、次の3つの要素をすべて満たす言動を指します。
ここでいう「顧客等」は、すでに商品を購入した一般消費者だけを指すものではありません。今後商品やサービスを利用する可能性がある人、問い合わせをする人、取引先の担当者、契約交渉の相手、施設やサービスの利用者なども含まれるため、BtoC企業だけでなくBtoB企業でもカスハラは起こり得ます。
また、カスハラに当たるかどうかは、ひとつの言葉や行動だけを切り取るのではなく、言動の目的や経緯、内容、頻度・継続性、業種・業態などを踏まえて総合的に判断します。「就業環境が害されたか」については、同じ状況に置かれた平均的な労働者が、就業するうえで看過できない程度の支障を感じるかが判断の基準となり、強い身体的・精神的苦痛を与える言動であれば、1回でも該当することがあります。
顧客等から寄せられる苦情や要望のすべてが、カスハラになるわけではありません。厚生労働省の指針でも、社会通念上許容される範囲で行われるものは「正当な申入れ」であり、カスハラには当たらないと示されています。
たとえば、商品やサービスに問題があり、顧客が契約内容に沿った説明や対応を求めること自体は、通常の顧客対応の範囲です。一方で、要求に理由がない、契約内容を著しく超える対応を求める、不当な損害賠償を要求するといった場合には、要求の内容そのものがカスハラに該当する可能性があります。
なお、要求自体に正当な理由があっても、その手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えていれば、カスハラに該当する可能性があります。たとえば、自社側に説明や対応が必要な事情があったとしても、長時間にわたって従業員を拘束したり、暴言や威圧的な言動を繰り返したりすることまで正当化されるわけではありません。
一方で、個別の事案によって判断は異なるため、「この言葉を言われたら必ずカスハラ」と一律に決めつけるのも適切ではありません。要求の内容だけでなく、言動が行われた経緯や頻度、継続性、手段・態様などを含めて確認することが大切です。
カスハラは、店舗や窓口などで対面しているときだけ発生するものではありません。厚生労働省の指針では、電話やSNSなどインターネット上で行われる言動も、職場におけるカスハラに含まれることが明記されています。
さらに、ここでいう「職場」もオフィスや店舗だけに限られません。取引先の事務所や顧客の自宅など、従業員が業務を行う場所であれば、通常の就業場所以外も「職場」に含まれます。
厚生労働省の指針では、電話やSNSにも関係するカスハラの例として、次のような言動が挙げられています。
電話対応では、顧客と担当者だけで会話する場面もあり、周囲の従業員や管理者が当時のやり取りを把握しにくいことがあります。そのため、電話でのカスハラに備える方法のひとつとして、通話内容を記録し、必要なときに事実関係を確認できる状態にしておくことも検討できます。ただし、カスハラ対策として通話録音そのものが義務付けられているわけではありません。
参考: 厚生労働省「カスタマーハラスメント防止指針」 / 厚生労働省「あかるい職場応援団|カスタマーハラスメントとは」
2026年10月1日から、事業主はカスハラを防止するため、方針の明確化や相談体制の整備、発生後の対応など、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント防止指針」では、事業主が講じるべき措置を大きく5つの区分に分けて示しています。本記事では、企業が準備すべき内容を確認しやすいよう、それぞれの義務事項を次の10項目に分けて整理しました。
ここで整理した10項目は、厚生労働省の指針で義務付けられている措置を、確認しやすいよう本記事で細かく分けたものです。一方、研修やマニュアルの作成、録音・録画など、指針に具体的な実施方法として示されているものには「例」も含まれます。
そのため、すべての企業がまったく同じ方法を導入する必要があるわけではありません。自社の業種・業態や顧客対応の実態に合わせて、必要な措置が実際に機能する体制を整えることが重要です。以下では、10項目を指針の5つの区分に沿って詳しく見ていきます。
まず必要なのが、「会社としてカスハラには毅然と対応し、従業員を守る」という方針を明確にすることです。経営者や一部の管理職だけが認識するのではなく、管理監督者を含む従業員へ方針を周知・啓発する必要があります。
あわせて、何をカスハラと考えるのかだけでなく、実際に発生したときに誰へ報告し、どのように対応するのかまであらかじめ決めておきます。現場で対応する従業員が、その場で判断に迷わない状態にしておくことが大切です。
これらは厚生労働省が示す対処方法の例であり、すべてを一律に導入しなければならないという意味ではありません。自社で起こり得るカスハラを想定し、「どの段階で、誰が、どの対応へ切り替えるのか」を具体的に決めておくと、対応を属人化しにくくなります。
なお、カスハラには毅然と対応して従業員を保護するという会社の方針を、顧客等へ周知することも被害防止に有効な取り組みとして示されています。
従業員がカスハラを受けたときに、すぐ相談できる窓口をあらかじめ設け、その存在を社内へ周知することも必要です。相談担当者を決める、社内に相談制度を設ける、外部機関へ対応を委託するといった方法があります。
ただし、窓口を用意するだけでは十分ではありません。相談内容や状況に応じて適切に対応できるよう、関係部署との連携方法や対応手順を決め、必要に応じてマニュアルや研修も活用します。また、実際にカスハラが発生した場合だけでなく、「カスハラに当たるか判断できない」「このまま続けば問題になりそう」といった段階でも相談できる体制にしておくことが求められます。
カスハラに関する相談があった場合は、まず事実関係を迅速かつ正確に確認することが必要です。相談した従業員だけでなく、必要に応じて周囲の従業員からも聞き取りを行い、録音・録画などの客観的な証拠があれば確認します。
カスハラの事実が確認された場合は、担当者を変更する、複数人で対応する、被害を受けた従業員と行為者を引き離す、メンタルヘルスに関する相談へ対応するなど、事案に応じて必要な配慮を行います。
さらに、発生した事案への対応だけで終わらせず、会社の方針や対処方法を改めて周知したり、原因や背景となった商品・サービス・接客上の問題を改善したりするなど、再発防止までつなげることが重要です。必要に応じて対応経緯を記録し、個人情報の取扱いに注意しながら関係部署へ共有することも、今後の対策に役立ちます。
過度な要求を繰り返すなど特に悪質と考えられるカスハラについては、あらかじめ対処方針を定め、実際にその対応を取れる体制まで整えておく必要があります。
厚生労働省の指針では、具体的な対処例として、警察への通報、警告文の発出、法令の範囲内での商品・サービス提供の停止、店舗や施設への出入り禁止などが挙げられています。ただし、業種によってはサービス提供に関する法的な義務などがあるため、自社の事業内容や想定される事案に合わせて、どこまで対応するのかを決めておきましょう。
カスハラの相談や事実確認では、従業員や関係者の個人情報を取り扱うことがあります。そのため、相談者等のプライバシーを保護するための措置を講じ、そのことを従業員へ周知しておく必要があります。相談内容や事実確認で知り得た情報が不用意に社内外へ広がらないよう、情報を扱う担当者や管理方法もあらかじめ決めておきましょう。
また、従業員がカスハラについて相談したことや、会社による事実確認へ協力したことなどを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしないことを定め、従業員へ周知することも義務付けられています。
参考: 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(カスタマーハラスメント防止指針)」
カスハラ対策が義務化されるからといって、すべての企業に通話録音が義務付けられるわけではありません。事業主に求められるのは、会社としての方針や相談体制、発生時の対応など、カスハラを防止するために必要な措置を整えることです。
その一方で、厚生労働省の「カスタマーハラスメント防止指針」では、カスハラへの具体的な対処方法として顧客等とのやり取りを録音・録画することが挙げられています。さらに、問題が発生した後の事実確認でも録音・録画等を客観的な証拠として確認することが示されているため、電話で顧客対応する企業にとっては検討する価値のある対策です。
カスハラ対策の義務化で混同しやすいのが、「カスハラ防止措置が義務になること」と「通話録音が義務になること」は別だという点です。
厚生労働省の指針では、事業主に対して、カスハラへの対処内容をあらかじめ定め、従業員へ周知することを求めています。録音・録画はその具体例として示されていますが、指針に挙げられた対処方法は限定されたものではなく、各事業主が従業員や顧客対応の実態に応じて、必要な対処内容を定めることとされています。
したがって、録音設備を導入しただけでカスハラ対策が完了するわけでもありません。会社としての方針や相談窓口、発生時の対応手順などを整えたうえで、電話対応で想定されるリスクに応じて通話録音を組み合わせるという考え方が適切です。
厚生労働省の指針では、企業があらかじめ定めておくカスハラへの対処方法について、複数の具体例を示しています。その中には録音・録画だけでなく、従業員を一人で対応させないことや、要求が繰り返される場合に電話対応を終了することなども含まれています。
「可能な限り労働者を一人で対応させないこと。」 「顧客等とのやり取りを録音・録画すること。」 「一定の時間の経過をもって(中略)電話を切ったりすること。」 出典: 厚生労働省「カスタマーハラスメント防止指針」
「可能な限り労働者を一人で対応させないこと。」 「顧客等とのやり取りを録音・録画すること。」 「一定の時間の経過をもって(中略)電話を切ったりすること。」
つまり、通話録音だけを単独で導入するのではなく、担当者を孤立させない仕組みや、管理者へ引き継ぐ基準、対応を終了するルールなどと組み合わせて運用することが大切です。誰がどの段階で対応を引き継ぐのかまで決めておけば、担当者ごとの判断のばらつきも抑えやすくなります。
通話録音には、カスハラが発生した後の事実確認に役立つという側面もあります。電話で「何を言われたのか」「どのような要求が続いたのか」を後から確認できれば、担当者の記憶だけに頼らず、当時の状況を整理しやすくなります。
厚生労働省の指針でも、カスハラに関する相談を受けた場合には、事実関係を迅速かつ正確に確認することが求められています。その具体的な方法として、相談者や周囲の従業員への聞き取りに加え、必要に応じて録音・録画等の客観的な証拠を確認することが示されています。
とくに電話対応では、顧客と担当者だけで会話していることも少なくありません。通話内容が記録されていれば、発言内容だけでなく、要求が繰り返された経緯や対応時間なども含めて確認しやすくなります。管理者や相談窓口、法務部門などへの情報共有もしやすくなり、その後の対応方針や再発防止策を検討する材料として活用できます。
通話録音を導入するときは、録音できるかどうかだけでなく、録音したデータをどのように取り扱うかまで考えておく必要があります。厚生労働省の指針でも、録音・録画に当たっては個人情報保護法などを遵守し、顧客等の個人情報を適切に取り扱うよう示されています。
個人情報保護委員会によると、通話内容から特定の個人を識別できる場合、その録音データは個人情報に該当します。個人情報に該当する場合、個人情報取扱事業者には利用目的を通知または公表する義務があるため、「カスハラ発生時の事実確認」など、録音データを何のために利用するのかを明確にしておきましょう。
一方、個人情報保護法上は、録音している事実そのものを相手へ伝える義務まではありません。つまり、個人情報保護法だけを理由に、すべての通話で必ず「この通話を録音します」とアナウンスしなければならないわけではありません。
ただし、利用する通話録音サービスの仕様や契約条件、業種ごとのルール、社内方針などによっては、録音を知らせるアナウンスなどが必要になることもあります。導入前に、利用目的・保存先・閲覧できる人・保存期間・削除方法まで整理し、録音データを適切に管理できる運用を整えておくことが大切です。
参考: 厚生労働省「カスタマーハラスメント防止指針」 / 個人情報保護委員会「顧客との電話の通話内容は個人情報に該当しますか」
カスハラ対策として通話録音を取り入れる場合は、録音機能の有無だけでなく、「自社では、どの電話で顧客とやり取りしているのか」を先に確認することが重要です。
たとえば、オフィスの固定電話を録音できるようにしても、営業担当者が外出先から社用携帯で顧客と直接話しているなら、その通話まで同じように記録されるとは限りません。固定電話・社用携帯・クラウドPBXなど、実際の顧客対応に使っている電話環境を洗い出し、録音できる範囲に抜けがないかを確認しましょう。
代表電話や問い合わせ窓口など、顧客との通話が主にオフィスの固定電話で発生している場合は、固定電話・ビジネスフォン側の通話を記録できる環境を整えるのが基本です。
ビジネスフォンでは、利用している主装置や機器、サービスなどによって通話録音に対応できる場合があります。まずは、どの番号・どの電話機で顧客対応しているのか、着信だけでなく発信も記録する必要があるのかを整理すると、必要な録音範囲を判断しやすくなります。
一方で、代表電話を録音していても、担当者が社用携帯へ切り替えて顧客と直接通話している場合は、そのやり取りまで固定電話側に残るとは限りません。「会社の電話は録音しているから大丈夫」と考えるのではなく、実際の運用まで確認しておくことが大切です。
営業担当者や訪問スタッフが社用携帯で顧客と直接やり取りしている企業では、社用携帯で発生する通話も対策範囲から漏らさないことが大切です。
顧客から担当者の携帯番号へ直接着信する、訪問前後の連絡をする、外出先でクレーム対応をするといった運用では、固定電話側に録音の仕組みを用意しても、その通話まで記録できるとは限りません。誰が社用携帯で顧客対応しているのかを洗い出し、録音を検討すべき通話に抜けがないかを確認しましょう。
社用携帯では、端末の録音機能やアプリ・クラウドサービス、キャリアの法人向け通話録音サービスなどを利用できます。それぞれ録音できる通話や保存・管理の仕組みが異なるため、実際の利用状況に合った方法を選ぶ必要があります。
旗島(はたしま)
見落としやすいのが、代表電話で受けた問い合わせを営業担当者が社用携帯から折り返しているケースです。代表電話側だけ録音していても、その後の顧客とのやり取りが残らないことがあるため、「最初に電話を受けた番号」だけでなく、その後どの電話で対応しているかまで確認すると録音範囲を整理しやすくなります。
クラウドPBXを利用している企業では、スマートフォンやPCから会社の電話番号で発着信するなど、オフィス以外でも顧客対応を行えます。そのため、通話録音を検討するときは端末の種類だけで判断せず、利用中のクラウドPBXで、どの通話を録音できるのかを確認することが重要です。
同じスマートフォンでも、通常の携帯電話回線で発着信する場合と、クラウドPBXのアプリなどを経由して発着信する場合では、録音の仕組みが異なることがあります。まずは、普段どの方法で顧客と通話しているのかを整理し、その通話が録音対象になるかを確認しましょう。
あわせて、現在の契約に通話録音機能が含まれているか、録音データをどこに保存し、誰が確認できるのかまでチェックしておくと、実際の運用もイメージしやすくなります。
企業によっては、代表電話はビジネスフォン、営業担当者は社用携帯、在宅勤務ではクラウドPBXというように、複数の電話環境を併用しています。
この場合に注意したいのが、一部の電話だけ対策して「録音の抜け」が生まれることです。たとえば固定電話は録音できていても、営業担当者の社用携帯が対象外なら、外出先での顧客対応だけ記録が残らない可能性があります。一方で、顧客対応に使っていない社用携帯まで一律に録音対象へ広げる必要があるとは限りません。
大切なのは、すべての電話を一律に録音することではなく、「誰が・どの番号で・どの端末から顧客と通話しているか」を整理し、必要な範囲に合わせて録音方法を選ぶことです。
社用携帯の通話を録音する方法は、大きく分けて「スマホ・携帯電話の録音機能」「通話録音アプリ・クラウドサービス」「キャリアの法人向け通話録音サービス」の3つです。
それぞれ、録音できる通話や自動録音の可否、保存先、管理方法などが異なります。法人で利用する場合は、単に録音できるかだけでなく、複数の従業員が同じルールで運用でき、必要なときに会社側で録音データを確認できるかまで考えて選ぶことが大切です。
スマートフォンや携帯電話に備わっている通話録音機能を利用する方法です。iPhoneや一部のAndroid端末・電話アプリでも通話録音に対応していますが、利用できる機種・OS・地域・携帯通信会社などによって対応状況が異なります。
たとえばiPhoneでは、録音した通話が「メモ」アプリに保存されます。Googleの電話アプリでも、対応端末で録音した通話を端末上から再生・管理できます。なお、iPhoneやGoogleの電話アプリでは録音開始時に相手側にも通知されるため、こうした録音時の動作や通知方法も運用前に確認しておきましょう。
追加のサービスを契約せずに利用できる場合があるため手軽ですが、法人利用では、録音操作が必要か、自動録音に対応しているか、会社側でデータをまとめて管理できるかも重要です。端末内を中心に保存する運用では、紛失・交換のほか、従業員の退職や異動があった際に録音データをどう扱うかまで決めておく必要があります。
専用の通話録音アプリや、通話録音機能を備えたクラウドサービスを利用する方法もあります。サービスによっては録音だけでなく、クラウドへの保存や録音データの共有・検索など、法人で管理しやすい機能を備えています。
複数の従業員の録音データをまとめて確認できる仕組みであれば、担当者の端末だけに記録を残さず、会社として通話内容を管理しやすくなるのがメリットです。カスハラが発生した際に、管理者や相談窓口が録音内容を確認するといった運用にもつなげやすくなります。
ただし、「通話録音アプリ」「クラウドサービス」と呼ばれるものでも仕組みはさまざまで、通常の携帯電話回線、専用アプリ内の通話、クラウドPBXの通話など、どこまで録音できるかはサービスによって異なります。普段どの方法で顧客と発着信しているのかを確認し、その通話が録音対象になるかを確かめてから選びましょう。
携帯キャリアが法人向けに提供する通話録音サービスを利用する方法です。ネットワーク側で録音するタイプであれば、対象回線の通話を自動的に録音できるため、従業員による録音忘れを防ぎやすく、複数回線でも同じルールで運用しやすくなります。
たとえばソフトバンクの「通話録音サービス」は、対象となるケータイ・iPhone・スマートフォンの通話をネットワーク側で自動録音し、音声をSmartVPN経由で企業側の設備へ送信する仕組みです。通常の発着信操作で録音されるため、従業員が通話のたびに録音開始の操作をする必要がありません。
一方で、サービスによっては専用のネットワークや、録音データを受信・保存するための設備が必要です。そのため、複数の社用携帯を会社のルールとして継続的に自動録音・管理したい場合には有力な選択肢ですが、必要な設備や費用まで含めて検討する必要があります。
▼ ソフトバンクの通話録音サービスの料金・仕組みを詳しく知りたい方はこちら
参考: Apple「iPhoneで通話を録音して文字に起こす」 / Google「電話アプリを使用して通話を録音する」 / ソフトバンク「通話録音サービス」
社用携帯向けの通話録音サービスは、月額料金や「自動録音できるか」だけで選ぶと、必要な通話が録音できなかったり、想定以上に設備費がかかったりすることがあります。
導入前に確認したいのは、「録音できる通話」「録音データの保存・管理」「導入にかかる総額」「利用開始までの期間と運用方法」の4点です。ここではソフトバンクの法人向け「通話録音サービス」を具体例に、それぞれの確認ポイントを見ていきます。
最初に確認したいのが、「どの社用携帯・どの通話まで録音できるのか」です。通話録音サービスを契約していても、社用携帯で行うすべての通話が録音対象になるとは限りません。
ソフトバンクの「通話録音サービス」では、サービスを開始した契約回線について、日本国内で発着信する通常の音声通話を録音できます。一方で、公式の注意事項では、次のような通話は録音できないとされています。
たとえば、営業担当者が通常の電話だけでなく、LINEやTeamsなどのVoIPアプリでも顧客と通話している場合は、そのやり取りまで同じサービスで録音できるとは限りません。普段どの方法で顧客と通話しているのかを洗い出し、残したい通話が録音対象に含まれるかを確認しておきましょう。
なお、ソフトバンクでは、通話録音サービスを利用する携帯電話をすべて同一名義にする必要があります。既存の社用携帯へ追加する場合は、回線の契約状況もあわせて確認が必要です。
カスハラ発生時の事実確認に役立てるには、通話を録音するだけでなく、必要な録音データを後から探して確認できる状態にしておくことが重要です。保存先に加えて、誰が録音を確認できるのか、どのくらい保存するのか、必要な通話をどのように特定するのかまで考えておきましょう。
ソフトバンクの通話録音サービスでは、録音した音声をSmartVPN経由で企業側の設備へ送信します。方式は、通話内容を音声ファイルとして送る「ファイル送信型」と、通話音声をリアルタイムで送る「音声送信型」の2種類です。いずれも、企業側で音声データを受信・保存するための設備を用意する必要があります。
複数の社用携帯を録音する場合は、担当者ごとに記録が分散しないよう、管理者や相談窓口が必要な録音を確認できる運用まで決めておくと、実際にカスハラが発生した際の事実確認にも活用しやすくなります。
費用を比較するときは、1回線あたりのサービス利用料だけで判断しないことも大切です。ソフトバンクの「通話録音サービス」は1回線あたり月額400円(税抜)ですが、利用するにはネットワークや録音・保存設備などの費用もかかります。
※「接続」はアクセス回線単位ではなく、SmartVPN単位での接続です。
つまり、「月額400円×回線数」だけで導入費用を計算することはできません。現在のモバイル料金に加えて、SmartVPNや録音・保存用サーバーなども含め、初期費用と月額費用の総額で比較しましょう。
法人向けの通話録音サービスは、申し込んですぐに利用できるとは限りません。たとえばソフトバンクでは、ネットワーク内の通話録音装置などを準備するため、申込みからサービス利用開始まで3か月程度必要と案内しています。導入したい時期が決まっている場合は、余裕をもって準備を始めましょう。
同時に、社内の運用ルールも決めておく必要があります。対象回線、録音データを確認できる担当者、保存期間、異動・退職時の取扱いなどを整理しておけば、サービス開始後も運用が属人化しにくくなります。
また、ソフトバンクでは、録音対象となる社用携帯の利用者に対して、通話が録音され、企業側の設備へ保存されることを事前に説明し、承諾を得る必要があります。通話相手にも原則として録音を知らせるガイダンスが流れるため、実際の顧客対応を想定して、ガイダンスを含めた運用方法も確認しておきましょう。
参考: ソフトバンク「通話録音サービス」 / ソフトバンク「通話録音サービス ご注意事項」
カスハラ対策として社用携帯に通話録音サービスを導入すると、サービス利用料だけでなく、ネットワークや録音データの保存環境など、新たな費用が発生することがあります。そこで、録音環境だけを追加するのではなく、現在の法人携帯の料金プランや利用状況もあわせて確認し、電話環境全体のコストを見直すのがおすすめです。
たとえば、実際のデータ使用量に対して容量の大きなプランを契約していたり、通話量に合わないオプションを付けていたりすれば、毎月の通信費を見直せる可能性があります。OFFICE110では、通話録音に関するご相談とあわせて、法人携帯の利用台数・通話量・データ使用量などを確認し、料金プランや機種までまとめてご提案します。
※料金・端末価格・適用条件は契約内容や台数などにより異なります。詳しくはお問い合わせください。
OFFICE110では、一般的なキャリアショップにはない法人向けの特別プランもご案内しています。SoftBank・au・NTTドコモ・ワイモバイルなど主要4キャリアをまとめて比較できるため、自社で何社にも見積もりを依頼する手間を抑えながら、利用状況に合った料金プランや機種を検討できます。
さらに、法人携帯だけでなく、ビジネスフォンやクラウドPBXを含めた電話環境についてもご相談いただけます。「今の社用携帯で通話録音を導入できる?」「固定電話と社用携帯のどちらを見直せばいい?」とまだ判断できない段階でも、現在の電話の使い方を確認しながら、必要な環境を整理していきます。
社用携帯のカスハラ対策と料金見直しをまとめて相談
OFFICE110は全国12万社以上の導入・取引実績があり、法人携帯の料金プラン・機種選びから電話環境の見直しまで専門スタッフがサポートします。「今の社用携帯で録音できる?」「料金もあわせて見直したい」という段階から、お見積もり・ご相談は無料です。
電話で顧客対応している企業が通話録音を検討するときは、代表電話だけを見るのではなく、「実際にどの電話で顧客と話しているのか」まで確認することが重要です。営業担当者や訪問スタッフが社用携帯で顧客と直接通話している場合は、必要に応じてその通話も録音対象に含めるか検討しましょう。
OFFICE110では、社用携帯で通話録音を導入できるかというご相談から、現在の電話環境や法人携帯の料金プラン・機種の見直しまでまとめてご相談いただけます。「今の社用携帯をそのまま使える?」「料金も含めて見直したい」といった段階から、お気軽にお問い合わせください。