モジュラージャック工事は自分でできる?基礎知識から費用まで簡単解説
「モジュラージャック」とは、電話線やLANケーブルを接続するために必要な設備です。
新設・増設などの工事を検討していながらも、次のような疑問をお持ちの方ではありませんか?
- そもそもモジュラージャックって、具体的にどんな設備なの?
- モジュラージャックの仕組みは?種類はある?
- LANコンセントや光コンセントとはどう違うの?
- モジュラージャックの工事にかかる費用は?
そこで今回は、モジュラージャックの基礎知識を画像付きでわかりやすく説明した後に、ケース別にモジュラージャックの工事内容と費用を徹底解説します。
最後まで読むと、モジュラージャックとは何なのか正しく理解できて、工事の流れや価格感も明確にイメージできるため、ぜひご覧ください。
監修者
登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:工事担任者(AI・DD総合種)/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
そもそも「モジュラージャック」とは?
まずは「モジュラージャック」とは何なのか正しく理解できるよう、モジュラージャックの概要から仕組み、コネクタの種類まで、基礎を網羅的に解説していきます。
モジュラージャックとは何なのかよく分かっていない方や曖昧に理解している方など、初心者にもわかりやすくご紹介するため、ぜひ目を通してみてください。
モジュラージャックとは
モジュラージャックとは、モジュラーケーブル(電話線)やLANケーブルの差込口のことです。
一般的に、写真のような壁に埋め込まれているものをモジュラージャックといい、「モジュラープラグ」と呼ばれる角型端子の専用コネクタとして使用されます。
なお従来は壁から電話線が出ている「ローゼット式(電話機コンセント)」が主流でしたが、現在では壁に埋め込まれたモジュラージャックと電話線をつなぐタイプが主流です。
モジュラージャックの仕組み
(画像引用:モジュラープラグ 4芯) モジュラープラグの画像 |
(画像引用:カテゴリ5Eモジュラープラグ) モジュラープラグのラッチの画像 |
モジュラージャックの仕組みとしては、「モジュラープラグ」を挿し込んで使います。
モジュラープラグとは、電話線やLANケーブルを接続する際に用いる端子(コネクタ)のことで、ケーブルの先端に取り付けられています。
そして「ラッチ」と呼ばれるツメ型の部品が付いており、モジュラージャックに挿入すると自然に押し込まれ、奥まで入るとツメが跳ね上がって内部で固定される仕組みです。
モジュラープラグを抜く際は、ラッチを軽く下に押して引っ張るだけで簡単です。
モジュラージャックのコネクタの種類
モジュラージャックのコネクタの種類は、「極数」と「芯数」で分類されます。
- 極数
- 芯数
コネクタに付いている溝の数のこと。溝の数によって「4極」「6極」などと呼ばれる
コネクタ内部にある配線の数のこと。配線の数によって「2芯」「4芯」などと呼ばれる
たとえば、溝の数が「6」で、配線の数が「4」のコネクタは「6極4芯」と呼ばれます。
なおモジュラージャックのコネクタは、極数によって使用用途が変わるのが一般的です。
4極:受話器のカールコードに使う規格
4極は、主に電話機と受話器を接続するケーブル「カールコード」に用いられる規格です。
芯数は4芯のみです(4極4芯)。
6極:電話機本体への配線に使う規格
6極は、主に壁に埋め込まれたコンセント(モジュラージャックなど)と電話機を接続する際に使用されます。
一般的に「モジュラーケーブル」「電話線」と呼ばれるのがこのタイプで、現在の主流です。
6極のコネクタには、芯数によって複数の種類があり、それぞれ接続する機器が異なります。
- 6極2芯:電話線差込口と電話機を接続する。一般家庭用電話など
- 6極4芯:ビジネスフォンやホームテレホンで使用される
- 6極6芯:ドアホンなどの接続に対応した電話機に使う
同じ6極でも用途によって使用するコネクタが異なるため、購入の際はよく確認することをおすすめします。
8極:インターネット接続に使う規格
(画像引用:電話機コード 6極4芯) モジュラープラグの画像 |
(画像引用:LANケーブル 1m グレー 8極8芯) モジュラープラグのラッチの画像 |
8極のコネクタは、ADSL・光回線・ケーブルテレビなどのインターネットを接続する際に使用されます。
一般的に「RJ45」「RJ48」と呼ばれるコネクタで、すべて8芯の「8極8芯」タイプです。
見比べるとわかるように、4極や6極よりも幅が大きく見分けがつきやすくなっています。
モジュラージャック・LANコンセント・光コンセントの違い
オフィスで電話やインターネットを使用する際に使われるコンセント(差し込み口)には、「モジュラージャック」のほかに「LANコンセント」「光コンセント」があります。
これら3つの主な違いは何かというと、『配線方式』です。
配線方式が異なるということは、回線速度などが大きく変わってきます。
そこで次に、モジュラージャック・LANコンセント・光コンセントの違いを詳しく解説します。
※一般的には、「LANコンセント」もモジュラージャックと呼ばれることがあります。
ここでは電話線(モジュラーケーブル)の差し込み口のことを「モジュラージャック」、LANケーブルの差し込み口のことを「LANコンセント」と分類していますのでご注意ください。
モジュラージャックの配線方式
モジュラージャックに用いられる配線方式は、「VDSL方式」と呼ばれるものです。
屋外の電柱から共有スペースまでは光ファイバーが通っており、そこから部屋までは電話用のケーブル(VDSL)を使って回線を引き込んでいます。
VDSL方式はもともと電話用のケーブルを使用してインターネット接続を行うため、通信速度が遅くなる点がデメリットです。
通信速度は後ほどご紹介する「LANコンセント」「光コンセント」と比較して最も遅く、最大でも100Mbpsまでしか対応していません。
【モジュラージャックの通信速度】
- 上り:50Mbps〜100Mbps
- 下り:100Mbps
もし仮に1Gbpsの光回線に申し込んだとしても、壁にあるのがモジュラージャックであった場合、物理的に通信速度が出ないということになります。
また、電話線のアナログ信号からインターネット用のデジタル信号に変換するため、相互変換装置として「終端装置(モデム・ONU)」を必要とするのも特徴です。
LANコンセントの配線方式
LANコンセントは、屋外の電柱から共有スペースまでは光ファイバーが通っており、そこから部屋まではLANケーブルを使って回線を引き込む方式です。
LANコンセントは終端装置を必要とせず、LANケーブルを差し込み口に直接つなぎ、インターネットに接続します。
通信速度はLANケーブルの種類により異なりますが、およそ100Mbps〜1Gbpsです。
ただ、現在主に採用されているのは「光コンセント」と「モジュラージャック」で、LANコンセントはあまり普及していません。
新しい建物の場合は「光コンセント」で、昔からあるマンションなどではもともとあった電話線を使う「VDSL方式」を採用することが多いためです。
なお、LANコンセントのコンセント口には「LAN」と記載されています。
光コンセントの配線方式
光コンセントは、屋外の電柱から部屋まですべて光ファイバーを使って回線を引き込んでいる配線方式です。
光コンセントのコンセント口には、「光」もしくは「光コンセントSC」と記載されています。
ほかのケーブルを使用せず、すべて光ファイバーで配線されているため、ほかの配線方式と比較して通信速度が速いことが最大の特徴です。
通信速度は最大1Gbpsと高速なため、ストレスなくインターネット通信を行えるでしょう。
【ケース別】モジュラージャックの工事内容・費用まとめ
一口にモジュラージャックの工事といってもさまざまなケースがあるため、工事内容については一概にはいえません。
そのため本章では、モジュラージャックの工事内容・費用について、ケース別に解説します。
はじめに:モジュラージャックの工事は自分でできる?
まずモジュラージャックの配線工事は、資格不要で自分で行うことが可能です。
例えば電気を取り扱う工事は、感電の危険性があるため「電気工事士」の資格が必要となり、無資格で行うと罰則の対象となりますが、LANは電気に触れないため一般人でも可能です。
ただし、壁内配線がともなう場合は、業者に依頼することをおすすめします。
たとえば1階のLANコンセントを分岐させて2階でも使用可能にはできますが、自分で行うとケーブルがむき出しになるため見た目がよくありません。
また、階段などを通さなければならないため配線距離が長くなり、難易度が高い上に材料費がかさむケースがほとんどです。
さらに壁内配線を自分で行うことは、法律上は可能ですが、失敗するリスクも高いでしょう。
失敗のすえ、結局業者に頼むことになった場合、必要以上の費用がかかってしまいます。
- モジュラージャックの工事は簡易的な作業であれば自分でも行えますが、壁の内側に配線する際は業者に頼むのが良いでしょう。
ケース①モジュラージャックを新しく設置したい
たとえば「1階にモジュラージャックはあるが、2階に新たに増設したい」などのケースや、「1つもモジュラージャックがないので取り付けたい」といった場合です。
この場合の大まかな工事の流れは、以下の通りです。
【モジュラージャック新設の際の工事内容】
- 配線を通す配管の設置
- 新たな配線を引く
- モジュラージャックの取り付け
モジュラージャックの新設は、クロスの補修や張り替えなどもともなう工事となるため、内装工事屋に依頼するのが一般的です。
ただし壁内の状況により、設置したい場所への配管経路が確保できない場合は、希望の場所への設置できない可能性があるため一度業者に現地調査をしてもらうのがおすすめです。
なお別の部屋にモジュラージャックがある場合、そこからハブなどで分岐させてケーブルを配線し、ほかの部屋でも使用できるようにする手段もあります。
ただし配線がむき出しになることや、必要以上に材料費がかさむといった点に注意しましょう。
工事費用の目安
モジュラージャックを新規設置する場合は、自宅に配管があるかないかで費用が変わります。
- 自宅にある配管を利用する場合:1万円〜4万円ほど
- 配管を新たに設置する場合:3万円〜6万円ほど
配管を新たに設置する場合は、手間も材料代もかかるため、数万円ほど上乗せされます。
いずれにせよ配管の有無を確認するため現地調査が必要ですので、詳しい費用は業者に確認しましょう。
ケース②モジュラージャックの差し込み口を増やしたい
今すでにモジュラージャックがある場所に、もう1つ差し込み口を増やしたいといったケースでは、壁の中に配線が2本きているなら、カバーを外して新たにジャックを増設し、線を接続するだけです。
この場合、電気配線には触れないことから、電気工事士の資格のない方でも作業可能です。
ただし壁内に線が2本きていない場合、大元からの配線工事が必要となります。
これもいじるのはケーブルのみなので資格は不要ですが、あまりおすすめできません。
その理由は、大元からモジュラージャックまで配線するとなると、床下や天井裏に線を通さなければならないため、作業の難易度が急激に上がってしまうためです。
工事費用の目安
モジュラージャックの差し込み口を増やす工事は、配線がモジュラージャックの付近まできているかどうかで変わります。
- 配線が付近まできている場合:2万円ほど
- 大元から配線を行う場合:1万円〜4万円ほど
大元から配線を行う場合は、ケーブルや配管など材料費もかかってしまうため、費用が高くなってしまいます。
また、現状使用しているモジュラージャックに余裕がない場合は、コンセントプレートも取り替えなければならないケースもあります。
上記は目安であるため、正確な費用を把握したい場合は業者に現状を確認してもらい、見積もりを出してもらいましょう。
ケース③モジュラージャックから光コンセントに交換したい
今、光回線を引いているもののモジュラージャック(電話・LANジャック)しかなく、通信速度にストレスを感じているため光コンセントを設置したい、などのケースです。
もしくは、シンプルにこれから光回線を引きたい場合も同じような工事内容となり、大まかな流れは以下の通り。
【光コンセント設置の工事内容】
- 電柱から光ファイバーケーブルを引き込む
- 光コンセントを希望の場所に設置する
- ONUなどの機器を接続する
- パソコンで接続設定をして完了
マンションやビルなどで共有部まで光ファイバーがきている場合は、部屋まで光回線をひくだけなので、より簡単な作業となります。
なお光コンセントの設置工事には立ち会いが必須で、作業時間は30分〜1時間が目安です。
- 新設の場合、壁に穴を開けなければならない場合もあります。
賃貸であれば当然、事前にオーナーへの確認が必要ですのでぜひ覚えておいてくださいね。
工事費用の目安
光コンセントの設置工事費用は、1万5千円〜4万円ほどが目安です。
ただ、最近ではプロバイダーによっては工事費無料のキャンペーンを行っているケースが多いため、最新の情報を確認しておくと良いでしょう。
光コンセントを設置する際は工事費無料のキャンペーンを行っているプロバイダーを選べば、導入コストを大幅に抑えることが可能です。
モジュラージャックの設置・配線工事はOFFICE110へ
モジュラージャック設置や配線工事でお悩みがあれば、「OFFICE110」へご相談ください。
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モジュラージャックに関する工事は専門的でわかりにくいものも多いですが、できるだけ専門用語は使わず、慣れていない方でもわかりやすい言葉でご説明いたします。
またOFFICE110なら、モジュラージャックの設置工事に必要な部材の調達から配線工事・アフターフォローまで一貫して行っているため、多数の業者に依頼する手間が省けます。
「どのような工事をするのが自社にとってベストかわからない……」
「モジュラージャックの工事をどこに頼めばよいか迷ってしまう……」
このようにお悩みであれば、LAN工事のプロ「OFFICE110」にお気軽にご相談ください。
まとめ
モジュラージャックとは、電話やインターネットの回線ケーブルを接続するための、壁に埋め込まれた差込口のことです。
コネクタにはさまざまな種類があり、用途によって使い分ける必要があります。
モジュラージャック設置の工事内容・費用は、ケースごとに異なるため本記事でご紹介した金額を目安に検討してみてください。
また工事内容はオフィスや部屋の状況によっても大きく異なるため、詳しくは業者に現地調査をしてもらい、見積もりを出してもらうことをおすすめします。
もしモジュラージャックの工事のことでお困りであれば、「OFFICE110」にご相談ください。
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