【図解】IPインターホンとは?仕組み・メリット・おすすめ解説
- IPインターホンって普通のドアホンと何が違うの?
- IPインターホンはどんな仕組み?構成はどうなっている?
- IPインターホンはどのようなシーンで導入されているの?
こんな疑問をお持ちではありませんか?
この記事では、IPインターホンと従来のインターホンとの違い、IPインターホンの仕組み、構成図、メリットなどを詳しく解説します。
実際の活用事例も交えて紹介しますので、導入したらどんなふうに快適な環境に変化するか、イメージしやすいでしょう。
導入を検討しているテナントオーナーや賃貸マンションの大家さん、オフィスのインターホンを検討中の方で、セキュリティ強化や管理の効率化を実現したい方は必読の内容です。
監修者
登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:工事担任者(AI・DD総合種)/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
IPインターホンとは?基礎をわかりやすく解説
IPインターホンとはどういうものか正しく理解するために、以下の3点に分けて解説します。
- IPインターホンとは
- IPインターホンの仕組み
- IPインターホンの構成図
IPインターホンとは
IPインターホンは、インターネットプロトコル(IP)ネットワークを使用して、音声やビデオ通話を可能にする先進的なインターホンシステムです。
従来の物理的な電話線を使った配線に代わり、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットを通じて通信を行います。
IPインターホンを導入すると、従来のインターホンシステムに比べて柔軟性が増し、遠隔操作や高品質な通話、複数端末との連携が容易になる点が大きな魅力です。
そのほかにも、従来のインターホンと比べて以下のようなさまざまな違いがあります。
従来のインターホン | IPインターホン | |
---|---|---|
玄関子機と室内親機の通信方式 | 有線通信:2芯線の電話線 無線通信:DECT※(1.9GHz) |
有線通信:LANケーブル 無線通信:Wi-Fi(2.4GHz) |
玄関子機・室内子機の増設 | 不可 | 可能 |
スマホ対応 | 一部対応(IPv6非対応の場合あり) | 完全対応 |
最大延長距離 | 有線・無線とも最大約100m | 無制限 |
外部機器との連動 | 有線・無線とも最大約100m | 無制限 |
外部機器との連動 | 不可 | 可能 |
※DECT:「Digital Enhanced Cordless Telecommunications」の頭文字を取ったデジタルコードレス電話規格。
IPインターホンの仕組み
先述したように、IPインターホンは、従来のアナログ方式とは異なり、音声や映像をデジタル情報に変換し、IPネットワークを通じて送受信する通信システムです。
インターホンから呼び出しがあると、該当する拠点の画像・ビデオが自動的に表示され、即座にその場の状況を目視することが可能。
さらに通話内容や映像は録音・録画できるため、トラブルがあった際に後で確認したり、緊急時の解析に役立てることができます。
IPインターホンシステムは規模に関係なく、小規模オフィスから大企業まであらゆる環境で構築できるため、様々な分野・業種への活用が見込まれるといえるでしょう。
IPインターホンのシステム構成
こちらのシステム構成図は、複数の場所に分散されて設置されたIPインターホンシステムのネットワーク接続を表しています。
具体的な要素とその役割は以下の通りです。
- PoEスイッチ: Power over Ethernetを意味し、ネットワークケーブルを通じてIPインターホンに電力とデータ接続を供給する装置です。
- メディアコンバーター: ネットワーク信号を異なる形式やメディアタイプに変換する装置です。例えば、光ファイバーから銅線への変換などが該当します。
- 無線LANアクセスポイント: 無線LANを通じてデバイスにネットワーク接続を提供します。これにより、ケーブルが届かない場所でも通信が可能になります。
- VPN経路: 仮想プライベートネットワークを用いて、安全にインターネットを介してデータを転送します。遠隔地のインターホンとの通信に用いられます。
- ルーター: ネットワーク間でデータを転送する装置で、通信の流れを制御します。
このシステムの利点は、広大な敷地や離れた拠点にあるインターホン間で、安全かつ効率的に通信することができる点です。
VPNを使用することで、遠隔地でも高いセキュリティを保ちながら、PoEスイッチを通じて電力とデータ接続を確保することが可能になります。
IPインターホンを導入する5つのメリット
IPインターホンを導入するメリットは、以下の5つです。
- 接続台数が無制限で大型施設でも対応できる
- 距離制限がなく離れた拠点で遠隔応対が可能である
- 電気錠や回転灯などの外部機器と連動できる
- さまざまなネットワーク製品を一元管理できる
- サーバー不要で省スペースを実現&コスト大幅に削減できる
従来のインターホンと比べ、IPインターホンが選ばれる理由を詳しく見ていきましょう。
接続台数が無制限で大型施設でも対応できる
IPインターホンのメリットの一つは、接続できる端末数がほぼ無制限な点です。
これは、大規模な商業施設やエントランスの多い教育施設、広大なキャンパスのような場所で特に有利で、小さなオフィスをはじめどんな規模の建物にも柔軟に対応できます。
また端末を追加するたびに新たに配線する必要がなく、既存のネットワークインフラを利用できるため、設置の手間とコストを大幅に削減することが可能。
例えば大規模オフィスビルが新しい区画に拡張する際や、学校が新しい施設を建てる際に、迅速かつ簡単にコミュニケーションシステムを拡大できます。
具体的な活用例は以下の通りです(導入シーン別の具体的な活用例はこちら)。
施設名 | 事例 |
---|---|
小・中学校 | 緊急時は体育館や各教室の非常ボタンで守衛室・職員室・校長室と連絡可能。 平常時は校門のインターホンで来訪者応対や内線連絡用として利用可能。 |
無人駅 | 券売機、精算機、無人改札口の監視カメラやインターホン、トイレの非常ボタンと駅務室と連絡可能。 |
スーパーマーケット | 各店舗のサービスカウンターに設置した受付モニターと本社サポートセンターと連絡可能。 |
駐輪場・駐車場 | 精算機のインターホンと管理会社コールセンターとの連絡でロック解除やゲートオープンが可能。 |
小規模オフィス | 受付モニターや夜間通用口と事務所内親機と連絡可能。 MicroSDカードで通話時の録画や録音も可能。 |
高速道路料金所 | 料金事務所とインターチェンジの料金ブースと連絡可能。 インターホン・監視カメラ・放送設備を一元化。 |
消防署 | 近隣の所轄消防署と遠方の消防本部と連絡可能。 消防署員不在時の通報を消防本部へ自動転送しテレビ通話で応対、通報者映像の録画も可能。 |
距離制限がなく離れた拠点で遠隔応対が可能である
IPインターホンでは、距離制限がなく離れた拠点での遠隔応対が可能な点もメリットです。
これにより、例えば分散したオフィスビルや、大学のような大規模な教育施設、広範囲に渡る工業団地で、中央の受付システムから全エリアの出入口と通信が可能となります。
また各端末間でPoEスイッチングハブを導入すれば、電源はLANケーブルだけで十分供給できるため、面倒なACアダプタの使用を避けることが可能に。
さらに光ケーブルやVPN接続を使用することで、広い敷地や離れた場所にある拠点間での映像や音声もスムーズやり取りできます。
そのほか、無線LANアクセスポイントとの連携を利用すれば、配線が難しい環境でもIPインターホンを導入することが可能です。
距離制限がなく離れた拠点で遠隔応対が可能である
電気錠や回転灯など外部機器と連動できるのもIPインターホンのメリットです。
外部機器と連動すると、以下のようなシーンでもさまざまな対応が可能です。
- 守衛室など離れた場所から、電気錠の解錠やパワーゲートの開閉操作が可能
- ドアやゲートが複数でも各端末からの配線なしで、表示盤などに呼び出しのあった端末を表示し操作が可能
- 複数の出入り口がある場合、どこから呼ばれたかを表示灯に色分けして点灯し、着信音に気づきにくい場所やモニター画面を確認しにくい作業現場でも対応が可能
- インターホンからの通常呼び出しは回転灯が黄色で点灯、非常ボタン押下の場合は赤点灯でブザー音も鳴らして知らせるなど、状況に合わせて表示を変更可能
上記のように、IPインターホンの連動性は、効率的な操作と安全性を実現します。
さまざまなネットワーク製品を一元管理できる
IPネットワークを活用することで、これまで別々に管理・運用していた他社製ネットワーク機器とインターホンを連携でき、統合的な管理が実現可能です。
これにはネットワークカメラのほか、NVR(録画機器)、VMS(映像監視ソフトウェア)、ネットワーク対応表示灯なども含まれます。
例えば、外部の様子を捉えるネットワークカメラや訪問者の顔をはっきり捉えるドアホンのカメラ、これらすべてを連携させて映像を撮影し、保存することができます。
さらに、多様な認証方法が利用可能で、顔認証、暗証番号の入力、非接触型センサー、QRコード、カードキーなどを使用することで、入退場管理がより安全かつ効率的に。
また、動線監視や体温検知と組み合わせれば、緊急時の安全対策や健康管理にも役立ち、オフィスビル、学校、病院など多岐にわたる場所でのセキュリティと運用の効率化が望めます。
サーバー不要で省スペースを実現&コスト大幅の削減できる
IPインターホンは、サーバーや追加の設備が不要のため、省スペース&コスト大幅削減という点でもメリットがあります。
従来の通信システムでは、複雑なケーブル配線や、それぞれの端末に対応するアダプタ、さらには中央制御用のサーバーなどが不可欠でしたが、IPインターホンならこれらが必要ありません。
特に、PoEスイッチを使用すれば、通信と電力供給がLANケーブル一本で可能となり、複雑な配線工事や電源アダプタ、追加のサーバー設備が不要に。
結果として、施設全体のインフラをシンプルかつ効率的に一元管理できるのです。
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IPインターホン導入シーン別の活用例
IPインターホンの活用事例を、以下の4つのシーンで解説します。
- 大型商業施設
- 大学
- 工場
- テナントビル
①大型商業施設
大型商業施設では、多数の出入口や併設駐車場・駐輪場から人や車が出入りしています。
一般駐車場のほか、搬入トラックや搬入口から出入りする納入業者の動きも確認が必要です。
そこでIPインターホンなら、多数の出入り口をエリアごとに分けずにすべて一元管理できます。
たとえば、車椅子利用者専用入口や、多目的トイレの非常ボタンなどからの緊急通報も管理でき、場所に応じた放送アナウンスを行うことが可能になります。
また営業時間外やインフォメーションが無人の際も、防災センターへ通報を自動転送し、どこからでも対応できるようになります。
このように、IPインターホンは大型施設の安全と効率的な運用に大きく貢献するでしょう。
②大学
広大なキャンパスにおいて、インターホンやネットワークカメラ、非常ボタンなどの正確な位置を把握しておくことは非常に重要です。
そこでIPインターホンシステムを利用することで、これらの設備の位置を、PC用アプリケーションのマップ上で視覚的に把握できます。
このシステムにより、インターホンが設置されている場所の情報を守衛室や事務室から集中的に管理できるため、トイレの緊急呼び出しをはじめとしたさまざまな状況に迅速に対応できます。
またグラウンドや体育館などに設置されたネットワークカメラの映像確認や、一部エリアのみの構内放送も可能で、広範囲にわたる施設の管理と安全対策が実現するでしょう。
③工場
広範囲にわたる工場内では、エントランスや駐車場ゲートが遠く、スタッフが様々なフロアに分散して作業していることがあります。
IPインターホンシステムを利用することで、事務所から遠隔地のゲート開閉が可能になり、また、どこにいても相手の顔を見ながらの通話が実現します。
複数の工場や本社、支社が異なる場所にある場合でも、IPインターホンを通じて各地の呼び出しに迅速に対応することが可能です。
さらに、グループ転送や再転送機能により、映像を伴う通話を複数の端末へ転送できるため、誰もいない時間帯でも商品の搬入作業などがスムーズに行えます。
加えて、ネットワークカメラを併用することで、敷地内の監視・録画が可能となり、セキュリティの強化にも繋がります。
④テナントビル
テナントビルでは、入居するオフィスや店舗の安全を確保するために、広角カメラを含むセキュリティシステムが非常に重要です。
このシステムにより、来訪者とその周囲の映像をリアルタイムでチェックしながら対話し、必要に応じて映像を記録できます。
また来訪者の入館時には、テンキーやセキュリティカードを使ってオートロックを解除できるようにすれば、不正侵入を効果的に防げます。
さらに、室内親機からカメラ映像を切り替えて確認することもでき、プライバシーを保護したいときには受話器付きの電話機など、状況に合わせて端末を選ぶことが可能です。
またLED照明付きのモデルを選べば、夜間の訪問者確認もクリアになり、テナントビル全体のセキュリティと快適性が向上します。
ビジネスシーンにおすすめのIPインターホン3選
ビジネスシーンにおすすめのIPインターホンを3つ紹介します。
- アイホン株式会社|IPネットワーク対応インターホンIXシステム
- 株式会社ナカヨ|ビル・マンション向けIPインターホン
- 株式会社千葉通信システム|Akuvox(アキュボックス)
それぞれを詳しく解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
アイホン株式会社|IPネットワーク対応インターホンIXシステム
(画像引用:アイホン株式会社|IPネットワーク対応インターホンIXシステム)
アイホン株式会社のIPネットワーク対応インターホンIXシステムは、最大9,998個まで端末を拡張できるIPインターホンです。
サーバー不要のため施行や管理の手間が少なく、あらゆる規模の施設で導入可能です。
インターホンの基本機能だけでなく、受付機能、トイレ呼出機能、PC用アプリケーションなど多彩な機能を搭載しています。
無人化・省人化拠点の遠隔コミュニケーションも、映像による状況も的確かつスムーズに把握できます。(遠隔地拠点間はサーバーが必要)
株式会社ナカヨ|ビル・マンション向けIPインターホン
(画像引用:株式会社ナカヨ|ビル・マンション向けIPインターホン)
株式会社ナカヨのビル・マンション向けIPインターホンは、4世帯のアパートから100世帯のマンションまで導入可能です。
マルチ・ユーザー・ゲートウェイを追加すれば、住戸親機を設置せずスマホや一般電話機で来訪者の確認・通話・解錠が可能です。(通信回線と電気錠が別途必要)
工事は簡単で、集合玄関周りだけでオートロックシステムが実現可能です。
なお集合玄関機には、以下の4種類から選べます。
製品名 | IKALL(エントリーモデル) | SENSE(普及モデル) | TOUCH(上位モデル) |
---|---|---|---|
表示系 | バックライト付LCD | バックライト付LCD | タッチスクリーン 暗証番号 |
操作系 | 自照式フラットキー 暗証番号 |
フルフラットキー 暗証番号 |
|
非接触キー | なし | RFIDリーダ内蔵(ICタグ) | RFIDリーダ内蔵(ICタグ) |
電源 | PoE給電 | 別売りACアダプタ使用 | PoE給電 |
画面カスタマイズ | 不可 | 不可 | 可能 |
簡易サイネージ | なし | なし | あり |
株式会社千葉通信システム|Akuvox(アキュボックス)
(画像引用:株式会社千葉通信システム|Akuvox(アキュボックス))
AkuvoxのIPインターホンは、低コストで簡単に構築できるオートロック連動インターホンシステムです。
AkuvoxR29Cがインターネットに接続できていれば、スマホやタブレットのSmartPlusアプリにて、どこにいても呼び出し応答、ビデオ通話、解錠操作ができます。
さらに、AkuvoxR29C-LはLTE対応のため、電源を接続するだけでAkuvoxクラウドサービスが利用可能です。
R29CとR29C-Lの機能と操作方法は全く同じで、暗証番号、カードキー、顔認証、SmartPlusのボタンから解錠操作ができます。
また、スマホやタブレットがなくても、訪問者が部屋番号をダイヤルすると、固定電話や携帯に着信します。
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まとめ
この記事ではIPインターホンについて、以下のような内容を解説しました。
- IPインターホンとはネットワーク機器とLANを利用したインターホンシステム
- IPインターホンには、接続台数が無制限、離れた拠点で遠隔応対が可能などのメリットがある
- 大型商業施設やマンションなどのシーンで活用できる
テナントオーナーや大家さんにとって、空室問題は頭の痛いことでしょう。
テナントビルや賃貸マンションは、オートロックシステムがないと検索結果に表示されないため、オートロックがない場合は至急対応が必要です。
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