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停電時にビジネスフォンが使えるかどうかは、電話機や主装置だけでなく、ひかり電話・IP電話の回線機器に電源が入っているかで変わります。内蔵バッテリーだけで足りると思っていると、ONUやルーターが止まり、通話できない場合があります。
この記事では、UPSで給電すべき機器、UPSの選び方、候補例、バッテリー点検の考え方を整理します。
停電時も慌てず対応するため、自社で確認すべき範囲をつかんでおきましょう。
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監修者
登 雄三(のぼり ゆうぞう)
保有資格:工事担任者(AI・DD総合種)/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
ビジネスフォンの停電対策では、電話機だけでなく、主装置・PBX・回線機器・ネットワーク機器まで電源を確保する必要があります。UPSは停電時に一時的な電源を供給する装置ですが、接続する機器や容量を誤ると、電話が使えないままになる場合があります。
特に、ひかり電話やIP電話を利用している場合は、ONU、ホームゲートウェイ、VG、ルーター、スイッチングハブなども通話に関わります。主装置だけを守るのは、井戸のポンプだけ動かして蛇口までの配管を止めてしまうようなものです。
通話に必要な流れ全体を見て、どこへUPSで給電するかを決めましょう。
UPSを入れれば停電対策が完了するわけではありません。給電対象・消費電力・必要なバックアップ時間を確認したうえで選定することが大切です。
出典:NTT東日本公式FAQ、NTT西日本|確認日:2026年7月1日
ビジネスフォンの「バックアップ電池」と「停電用バッテリー」は、役割を分けて考える必要があります。バックアップ電池は主装置の設定保持に関わることが多く、停電時に通話を長時間続けるための電源とは別に扱います。
一方、停電用バッテリーやUPSは、主装置・電話機・ONU・ルーターなどへ電力を供給し、停電時の業務停止を短時間でも避けるために使います。どちらも「電池」という名前がつくため混同しやすいですが、役割は同じではありません。
停電対策を考えるときは、バックアップ電池を「設定保持」、UPSを「給電補助」と分けて確認すると判断しやすくなります。呼び名が似ているため、保守点検や入れ替え時には、どの電池を指しているのかを業者へ確認しましょう。
ひかり電話やIP電話は、停電時に通話できない場合があります。電話機や主装置に電源があっても、回線側の機器やネットワーク機器が停止していると、外線通話ができないためです。
NTT東日本は、ひかり電話について停電時は緊急通報を含む通話ができず、UPS等を利用することで一定期間通話できる場合があると案内しています。ひかり電話を利用している場合は、回線終端装置やホームゲートウェイなど、通話に関わる機器の電源確保を確認してください。
停電時に電話が使えない可能性がある場合は、携帯電話、公衆電話、社用スマートフォンなどの代替連絡手段も準備しておくと安心です。UPSは大切な対策ですが、災害時や長時間停電では、電源だけに頼らない連絡ルートも必要になります。
失敗しやすいポイント:「主装置に電源があれば電話は使える」と考え、ONUやホームゲートウェイの電源を見落とすケースがあります。ひかり電話・IP電話では、通話に必要な機器を一式で確認しましょう。
UPSで給電すべき機器は、会社の電話環境によって変わります。まずは「電話をかける・受けるために必要な機器」をすべて書き出すことが重要です。
ビジネスフォンでは、主装置やPBXが内線・外線・保留・転送などを制御します。そのため、停電時に主装置が止まると、電話機だけに電源があっても通話できない場合があります。
ひかり電話を利用している場合は、ONUやホームゲートウェイ、VGなどの回線機器も確認します。現場によって機器構成が異なるため、「ONUだけ」「VGだけ」と決めつけず、通話経路に入っている機器をすべて確認してください。
IP電話やクラウドPBX、拠点間VPN、PC連携を使っている場合は、ルーターやスイッチングハブも通話に関わることがあります。NASやサーバー、通話録音用PCを同時に守りたい場合は、UPS容量も大きく見積もる必要があります。
配線や機器の配置が分散している場合は、UPSの設置場所やコンセント数も確認が必要です。ビジネスフォンの工事・配線まわりもあわせて整理すると、導入後の運用トラブルを減らしやすくなります。
UPSは、価格や見た目だけで選ぶものではありません。接続する機器の合計消費電力、必要なバックアップ時間、出力波形、給電方式、バッテリー交換性を確認して選びます。
まず、UPSにつなぐ機器のW数とVA数を確認します。主装置、ONU、ルーター、スイッチングハブ、最低限の電話機などを合計し、その容量を上回るUPSを選びます。必要バックアップ時間は、通話を続けたい時間だけでなく、安全に案内・折り返し・代替連絡へ切り替える時間も含めて考えます。
ビジネスフォン、PC、NAS、サーバー、ルーターなどを接続する場合は、正弦波出力のUPSを優先します。矩形波出力でも動作する機器はありますが、PFC電源搭載機器や精密機器では不具合が起きる可能性があります。
出典:OMRON公式|確認日:2026年7月1日
UPSの給電方式は、常時商用給電方式、ラインインタラクティブ方式、常時インバーター方式に分けて考えます。PCやNAS、サーバー、ネットワーク機器も含めて守るなら、ラインインタラクティブ方式×正弦波が候補になります。ONUやルーター中心の小規模構成では、常時商用給電方式×正弦波も選択肢です。
瞬断をできるだけ避けたい高可用性用途では、常時インバーター方式も検討します。
UPSは導入して終わりではありません。バッテリーは経年劣化するため、交換用バッテリーの有無、交換しやすさ、保証期間、メーカーサポートも確認します。数年後に交換バッテリーが手に入らないと、停電対策のつもりが本体ごとの買い替えになる場合があります。
失敗しやすいポイント:出力波形だけを見てUPSを選ぶと、容量不足やコンセント不足を見落とすことがあります。接続機器・容量・バックアップ時間・交換性をセットで確認しましょう。
ここでは、2026年7月時点で公式情報を確認できるUPS候補例を紹介します。価格・在庫・仕様は変更される場合があるため、導入前にはメーカー公式情報や販売店情報を確認してください。
出典:Schneider Electric公式サイト|確認日:2026年7月1日
APC Smart-UPS SMT750Jは、750VA/500W、ラインインタラクティブ方式、正弦波出力のUPSです。PC、NAS、サーバー、ネットワーク機器も含めて守りたい場合の候補になります。ビジネスフォン周辺だけでなく、停電時にデータ保護や安全なシャットダウンも考えたい場合に検討しやすい機種です。
APC UPS RS BR550S-JPは、550VA/330W、ラインインタラクティブ方式、正弦波出力のコンパクトなUPSです。標準切替時間は6ms、最大10ms、保証は36カ月、バッテリー寿命は3〜5年とされています。SOHOや小規模オフィスで、ONU・ルーター・小型ネットワーク機器を停電から守りたい場合の候補です。
なお、旧モデルのAPC RS 550 BR550G-JPはメーカー販売終了製品です。現行候補としてはBR550S-JPを確認してください。
OMRON BY50Sは、500VA/300W、常時商用給電方式、商用時/バックアップ時ともに正弦波出力のUPSです。メーカー希望小売価格は45,980円(税込)、41,800円(税抜)です。価格は変更される場合があるため、導入前に公式情報や販売店情報を確認してください。
自動シャットダウンソフトは、PowerAttendant Standard EditionおよびPowerAttendant Basic Editionが公式サイトから無償ダウンロードできる形で案内されています。
UPSの稼働時間は、「小規模なら何時間」「中規模なら何分」と固定で決められるものではありません。接続する機器の合計消費電力、UPSの容量、バッテリーの劣化状態、周囲温度によって変わります。
OMRONのUPS選定方法では、バッテリーが劣化したときはバックアップ時間が初期値の半分以下になるため、必要なバックアップ時間の2倍以上の余裕を持つことが推奨されています。停電時に30分の対応時間がほしい場合は、30分ぴったりではなく、余裕を見た容量選定が必要です。
出典:OMRON公式サイト|確認日:2026年7月1日
停電対策では、UPSだけでなく雷サージへの対策も確認しておきましょう。落雷や電源トラブルによる過電圧・過電流は、ビジネスフォン、FAX、ルーター、PCなどの故障リスクにつながる場合があります。
雷防護アダプターやサージ保護機能付き機器は、電源トラブル時の故障リスクを抑えるための補助対策です。ただし、停電時に電気を供給する役割はUPSとは異なります。停電対策とサージ対策は、別の役割として組み合わせて考えましょう。
落雷による電話機トラブルの対処も確認したい方は、落雷で電話が故障したときの対処法と予防策も参考にしてください。
ビジネスフォンの本体・主装置まわりのバッテリーと、UPSのバッテリーは分けて点検します。どちらも経年劣化しますが、交換目安や交換方法、交換用部品は同じではありません。
UPSのバッテリー寿命は機種によって異なります。たとえばBR550S-JPは3〜5年、BY50Sは4〜5年が目安として案内されています。実際の交換時期は、使用温度、負荷、設置環境、メーカー表示、バッテリー交換ランプなどを確認して判断してください。
失敗しやすいポイント:UPSを導入したあと、バッテリー点検を忘れてしまうケースがあります。停電時に使える状態を保つには、定期点検と交換計画まで含めて運用しましょう。
出典:Schneider Electric公式サイト、OMRON公式サイト|確認日:2026年7月1日
ビジネスフォンの停電対策は、UPSを1台選ぶだけでは終わりません。主装置、電話機、ONU、ホームゲートウェイ、VG、ルーター、スイッチングハブなど、通話に必要な機器を確認したうえで、容量とバックアップ時間を決める必要があります。
OFFICE110では、ビジネスフォンの導入や入れ替えだけでなく、回線・工事・周辺機器を含めた相談ができます。停電時にどこまで通話を続けたいか、どの機器をUPSにつなぐべきか分からない場合は、自社の構成に合わせて確認しておくと安心です。
\ ビジネスフォンの停電対策を相談する /
ビジネスフォンの停電対策では、UPSが有効な選択肢になります。ただし、守るべき機器は電話機だけではありません。主装置、ONU、ホームゲートウェイ、VG、ルーター、スイッチングハブなど、通話に必要な機器を洗い出したうえで、UPS容量と必要なバックアップ時間を決めることが大切です。
また、UPSの稼働時間は固定ではなく、接続機器の消費電力やバッテリー劣化によって変わります。製品候補を選ぶときは、販売終了品や古い価格情報に注意し、メーカー公式情報を確認してください。
停電時に電話対応を止めないためには、機器選びだけでなく、点検・交換・代替連絡手段まで含めた準備が必要です。いまの電話環境で、どこまで守るべきか。次の停電が来る前に、一度だけでも自社の通話経路を見直しておきましょう。
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