IP電話器とは?アナログ電話との違いとおすすめ電話機を解説
「IP電話機とアナログ電話機の違いは?」
「導入費はどれくらいかかるの?」
「自社に合ったIP電話機が知りたい」
IP電話機の導入を検討の際、このような疑問をお持ちではありませんか?
「IP電話機」とは、従来の電話回線ではなく「インターネット回線」に接続する電話機のことです。
電話回線が不要で、通話料を安く抑えられる点が導入のメリットになります。
本記事では、IP電話の仕組みを解説した上で、機能や従来機種との違い、おすすめ製品などを徹底紹介します。
オフィスレイアウトの変更や将来的に拡張を見据えている方、通話料のコストを削減したい方はぜひ最後までご覧ください。
監修者
登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:工事担任者(AI・DD総合種)/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
IP電話機とは?基礎からわかりやすく解説
IP電話機の導入を検討する上で、まず「IP電話機」の基本を押さえることが重要です。
本章では、IP電話機の特徴や仕組み、機能などの基礎知識をご紹介。初心者の方でも理解しやすいように、丁寧に解説していきます。
IP電話機とは何か
「IP電話機」とはその名の通り、IP電話に対応した電話機のことです。
従来の回線とは異なり、LANケーブルを使用してインターネット回線に接続するのが特徴です。
※「IP電話」:インターネットプロトコル(Internet Protocol)と呼ばれる通信ルールを使った電話サービスのこと。
なお、IP電話機の主な特徴は以下の3つです。
- インターネット回線を利用するため、従来の電話回線が不要
- 固定電話に限らず、スマホやPCからも利用可能
- LINEやSkypeなどのアプリ経由でビデオ通話にも対応
従来の電話は、NTT東日本/西日本の電話回線を使用しています。
一方、IP電話機はインターネット回線を使うので、通信業者に拘束されず、自由度の高い電話として注目されています。
IP電話の仕組み
IP電話は従来の固定電話とは異なり、インターネット回線を使って音声通信を行うシステムです。
具体的には以下のような流れで、音声通信を行います。
- 発信者側で、音声をデジタルデータ(IPパケット)に変換
- インターネット回線を介して、IPパケットを送信
- 受信側で、IPパケットを音声データに復元
このように、IP電話はインターネットプロトコル(IP)を利用し、音声データをデジタル化してやり取りします。
また、通信の制御には「VoIP」と「SIP」という技術が重要な役割を果たしています。
- 【VoIP(Voice over Internet Protocol)】
音声をデジタルデータに変換し、IPネットワーク経由で送受信する技術。IP電話の中核を成す機能です。 - 【SIPプロトコル】
発着信の制御や、通信相手の確保などを行う通信規約。VoIPと組み合わせて利用されます。
IP電話は、こうしたインターネット技術を活用することで、従来の電話網に頼らない音声通信を可能にしています。
これにより、設備投資が抑えられ、通話料も安価になるなどのメリットがあります。
IP電話の種類
IP電話には主に以下の3種類があり、これらは総務省によって通話品質で区分されています。
- 0AB-J型
– 市外局番から始まる10桁の固定電話番号が割り振られる
– 通話品質が高い - 050型
– 050から始まる11桁の番号が割り当てられる
– 通話料金が安い - 電話番号不要型
– 固定の電話番号がなくアプリを使う形式(LINE、Skypeなど)
このように、IP電話は電話番号の有無や種別で3つの形態に分類されます。
業務用途であれば通話品質の高い「0AB-J型」、プライベート用途なら低コストの「050型」や「電話番号不要型」を選ぶのが一般的です。
IP電話機とアナログ電話機の違い
この章では、IP電話機とアナログ電話機について、「電話機本体」や「機能面」それぞれの違いを解説していきます。
両者の違いを整理することで、IP電話機導入の意義や具体的なメリットが明確になるでしょう。
電話機本体の違い
まず、電話機本体の違いとして、IP電話機にはインターネット回線に接続するための専用ポートが備わっている点が挙げられます。
具体的には、IP電話機にはイーサネットポートや、LANポートと呼ばれるLANケーブル接続用の端子が搭載されています。
一方、アナログ電話機には電話回線用のモジュラージャックしかありません。
つまりIP電話機はネットワーク接続が前提の設計になっており、インターネット回線に接続できるよう工夫されています。
アナログ電話機は、あくまでも従来の電話回線専用の製品です。
このようにIP電話機とアナログ電話機では、接続する回線の種類が根本的に異なります。
機能面の違い
次に機能面の違いとして、IP電話機には、アナログ機種に搭載されていない多彩な機能が備わっている点があります。
通常、IP電話機に標準搭載されている機能は以下の通りです。
- 通話録音機能
- 通話品質向上につながる機能
- 顧客管理とのデータ連携
- スマートフォンの内線化機能
こうした機能を活用することで、IP電話機はビジネスツールとしても高い価値を発揮。単なる通話デバイスにとどまらず、業務の効率化や顧客対応の質の向上にも役立ちます。
さらに、リモートワークやフリーアドレス化など、新しい働き方にも対応可能です。
- IP電話によりオフィスの通信環境をデジタル化できるため、場所に捉われない柔軟な業務体制が実現可能になります。
IP電話機の本体価格・導入費用の相場
ここからは、IP電話機の本体価格や導入費用について解説します。
その他、工事費や将来的な利用・運用も踏まえて、費用を把握しておくことで導入の判断材料になるでしょう。
IP電話機の本体価格の相場
IP電話機は、固定電話(アナログ電話)に比べて選べる端末の種類が豊富なのが特徴です。
なお、電話機を選ぶ際は、新品・中古のどちらを選ぶかで導入コストは大きく変わってきます。
新品と中古品、それぞれの料金について紹介しますので、自社の状況に合わせて選択しましょう。
新品のIP電話機の場合
新品のIP電話機の本体価格は、おおよそ3万~5万円程度が相場です。
価格は従来のアナログ電話機と大差ありませんが、台数分の費用がかかる点に注意が必要です。
中古のIP電話機の場合
中古のIP電話機の場合、おおよそ3,000~1万円程度が相場で新品の半額以下の金額で導入できます。
また、状態の良い中古品の場合、新品と見分けがつかないほど綺麗な製品も多数出回っています。
そのため良質な中古品を揃えるには、次の条件を満たした業者が理想です。
- 仕入れルートが多い
- 本体のクリーニング対応を行っている
- 適切に管理・保管がされている
ただし、全ての業者がこうした対応をしているわけではありません。
中古IP電話機を購入する際は、業者の選定と見極めが重要です。
IP電話機の導入費用の相場
IP電話機の導入費用は、アナログ電話機の導入よりも大きく削減できる場合があります。
本章では、IP電話機のタイプ別に導入費用について解説します。
「0AB-J型」の導入費用
まず、「0AB-J型」IP電話機の導入費用については、NTTに工事費用と導入工事費が必要です。
例えば、NTTのサービス「ひかり電話オフィスタイプ」を導入する場合、初期費用として8,250円以上の費用がかかります。
さらに、オプションサービスを利用する場合は、各オプションについて追加の交換機器工事費が発生します。
また、「0AB-J型」の電話工事費用は、オフィスの規模に比例して高くなる傾向があり、一般的には10万円以上の費用がかかるケースが多いです。
その内訳の大半は、初期設定費用と配線工事などの人件費となります。
「050型」の導入費用
次に、「050型」のIP電話では、初期費用無料のプロバイダーが多く存在します。
ただし、業者によって異なるため、導入前には詳細を確認しましょう。
また、IP電話対応の機器がすでに設置されている環境の場合は、工事費用はかかりません。
さらに、必要なソフトをダウンロードしてサービスを申し込めば、すぐに利用できるケースがほとんどです。
「電話番号不要型」の導入費用
最後に「電話番号不要型」IP電話機は、LINEやSkypeなどのアプリをスマートフォンやPCにインストールするだけで利用可能です。
初期費用についても、大半のアプリが無料で提供されており、わずかに有料のアプリがある程度です。
また、基本的に工事は必要ありません。
オフィスにおすすめのIP電話機3選!
これからオフィスにIP電話機を導入しようと考えている方のために、おすすめの製品を3つ紹介します。
どのIP電話機を選べば良いか迷っている方は参考にしてみてください。
おすすめ①SmartNetcommunity αZX(NTT)
『SmartNetcommunity αZX』は、NTTが提供するIP電話対応の高機能ビジネスフォンです
- 【主な特徴】
- 2回線同時に通話可能
- 留守番電話機能
- 通話録音機能
- 自動応答メッセージ機能
- カメラ付きインターホンとの連携
このような多彩な機能が備わっており、オフィスの通信環境を強化できます。
さらに、NTTのひかり電話サービスを契約する場合は、IP電話機とのセット導入もおすすめ。一括して通信環境を構築できるのがメリットです。
ビジネスシーンで活躍するIP電話機を検討中の方は、『SmartNetcommunity αZX』の導入がおすすめです。
おすすめ②IP NetPhone SXII(SAXA)
SAXAの『IP NetPhone SXII』は、ビジネスシーンに最適なIP電話機です。
ビジネスに必要な機能を備えながら、シンプルでスタイリッシュなデザインを実現しています。
- 【主な特徴】
- ハンズフリー通話に対応
- 発信履歴/電話帳機能を搭載
- クリアな音質で快適な通話が可能
- 視認性に優れたディスプレイ
- 操作性の高いボタン配置
「IP電話機を導入してオフィスの通信環境を刷新したい方」「必要最低限の機能を備えた製品をお探しの方」にぴったりの機種です。
このように『IP NetPhone SXII』は、実用性と利便性を兼ね備えたIP電話機と言えるでしょう。
おすすめ③UNIVERGE IP Phone DT800(NEC)
NECの『UNIVERGE IP Phone DT800』は、拡張性と利便性に優れたIP電話機です。
- 【主な特徴】
- ボタン増設アダプタで機能拡張が可能
- オフィス拡張時にも柔軟に対応
- ワイヤレスヘッドセット対応で移動中も通話可能
- USB端子搭載で通話録音データを外部メモリに保存可能
- 録音データは暗号化され、セキュリティ対策も万全
機能性をさらに拡張できる点が大きな魅力です。
ボタン増設でオペレーターの作業効率もアップ。ヘッドセット対応でオフィス内の移動が自由になるなど、働き方改革にも貢献します。
業務の効率化やオフィス環境の改善を目指す企業様には、『UNIVERGE IP Phone DT800』の導入がおすすめです。
IP電話・IP電話機に関するよくある質問
最後に、IP電話機に関するよくある質問をQ&A方式で紹介します。
今回は6つの質問について詳しく回答していきます。
IP電話機のメリットは何?
企業がIP電話機を導入することで、主に以下の4つのメリットがあります。
- 初期費用や通話料を削減
初期費用や通話料金が安価なため、コストを大幅に抑えられます。 - 他のデジタル機器・ソフトウェアとの連携が容易
通信環境のデジタル化により、様々な連携が可能になります。 - 将来の拡張に対応しやすい
IP電話機は機能拡張が柔軟に行えるため、事業拡大にも対応できます。 - 各種デバイスを内線化できる
スマホやPCを内線電話として使用でき、テレワークにも活用できます。
このように、IP電話機は業務の効率化とコスト削減に貢献します。
アナログ電話機でIP電話を利用するには?
アナログ電話機でIP電話を使用するには、「VoIPアダプタ」と「VoIPゲートウェイ」と呼ばれる2つの専用機器を設置する必要があります。
これらの機器をアナログ電話機に接続することで、インターネット回線を使った通話が可能になります。
その際、各IPプロバイダが推奨する対応機種を選ぶことが重要です。
例えば、NTTの「ひかり電話」ではVoIPアダプタのレンタルサービスを行っています。
IP電話に変更後、従来の電話番号を使えますか?
はい、従来の電話番号を継続して利用することは可能です。
ただし、NTTのひかり電話やプロバイダー提供のIP電話サービスに加入する必要があります。
また、注意点として以下の2点を理解しておく必要があります。
- 番号ポータビリティ(番号転携)の手続きが必要
従来の番号を引き継ぐには、所定の手続きが必要になります。 - 一部地域では利用できない場合あり
IP網がカバーされていない一部の地域では、従来番号での利用ができません。
なお、各社によってIP電話のプランやサービス内容が異なります。
したがって、自社の用途に合ったプロバイダを比較検討して選択する必要があるでしょう。
IP電話でFAXは利用できる?
IP電話に移行しても、従来のFAX機を使い続けることが可能です。
ただし、アナログ電話用のFAX機ではIP電話回線への接続が不安定になる場合があり、トラブルの可能性があるため注意が必要です。
そのような場合を想定し、代替え案としてインターネットFAXなどの利用を検討しておくとよいでしょう。
固定電話はIP化されるの?
NTTは、段階的にアナログ回線・ISDN回線を廃止し、IP網への移行を進めています。
そのため、現在利用しているアナログ回線が突然使えなくなることはありません。
また、NTTはアナログ回線を自動的にIP網に変更し、電話番号もそのまま使用できます。
ただし、アナログ電話回線を使って機器を接続している場合、IP化によって接続できなくなるリスクがあります。
早めに動作環境を確認して、対策をしておきましょう。
IP電話に専用の電話機は必要?
新しくIP電話機を購入しなくても、アナログ電話機に専用のアダプタ(VoIPアダプタ)を接続すればIP電話を利用できます。
また、パソコンやスマートフォンに専用のアプリケーションをインストールすれば、IP電話機として使えます。
一方で、据え置きの電話機を導入したい場合は、あらかじめIP電話に対応した電話機を購入すると良いでしょう。
まとめ
IP電話機は、インターネット回線を利用して音声通話を行うIP電話専用の電話機です。
IP電話機の導入によるメリットは、以下通りです。
- アナログ回線に比べ多機能
- 配線の手間が省ける
- 全国一律の低料金通話が可能
また、導入時の選び方のポイントは以下の3つです。
- 従来の電話番号を利用したい場合は、NTTひかり電話やプロバイダーのIP電話サービスを契約する
- 必要な機能と台数を洗い出し、プランと料金を事前に確認する
- 工事費用も業者により異なるため、事前にしっかり比較検討する
IP電話機には多数のメリットがありますが、導入にあたっては事前準備が必要不可欠です。
そのため、自社のニーズを明確にした上で、サービス内容や料金、工事費用を比較検討することをおすすめします。
- 各社に適したプランでIP電話機を上手に活用し、業務の効率化を図りましょう。
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