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特別償却とは、一定の設備投資について、通常の減価償却費に加えて初年度に多くの費用を計上できる制度です。設備を導入した年度の課税所得を抑えられるため、税負担の時期を調整しやすくなります。
ただし、設備投資に関する税制には特別償却のほか、即時償却や税額控除などもあり、それぞれ仕組みやメリットが異なります。名前が似ている制度も多いため、「どのような場合に使えるのか」を理解しておくことが大切です。
それぞれの違いを把握しておけば、自社の利益状況や設備投資の目的に合わせて、どの制度を検討すべきか判断しやすくなります。
この記事では、特別償却の仕組みやメリット・デメリット、即時償却・税額控除との違い、利用できる主な制度について分かりやすく解説します。
監修者
千々波 一博(ちぢわ かずひろ)
保有資格:Webリテラシー/.com Master Advance/ITパスポート/生成AIパスポート/個人情報保護士/ビジネスマネジャー検定
2004年から通信業界で5年間営業として従事。その後、起業して他業種に進出。OFFICE110に営業で入社し、月40~60件ほどビジネスホン・複合機・法人携帯などを案内。現在は既存のお客様のコンサルティングとして従事。
特別償却とは、一定の要件を満たす設備について、通常の減価償却費に加えて、初年度に追加の償却費を計上できる制度です。通常より早い時期に費用を計上できるため、設備投資を行った年度の税負担を調整しやすくなります。
特別償却の仕組みを理解するには、まず通常の減価償却で設備の取得費用をどのように分けて計上するのかを押さえておくことが大切です。
ここでは、通常の減価償却の考え方と、特別償却の仕組みについて分かりやすく解説します。
減価償却とは、高額な固定資産の購入費用を、耐用年数にわたって少しずつ経費化していく会計・税務上のルールです。
建物や自動車、パソコン、複合機などは、購入した年だけでなく、複数年にわたって使い続ける固定資産です。こうした資産の価値は、時間の経過や使用に伴って少しずつ減っていくと考えられるため、購入した年に全額を一気に経費にすると、その年だけ費用が膨らみ、業績の見え方が大きく歪んでしまいます。
そこで、税法上は耐用年数に応じて費用を分割し、毎年少しずつ経費計上します。これが減価償却です。減価償却を正しく行うことで、利益と費用の対応関係を適切に保ちつつ、無理のない節税にもつながります。
減価償却には「毎年同じ額を費用にする方法」と「初年度に多く、年数が経つほど少なくしていく方法」の2種類があります。
定額法は費用が毎年一定なので、利益のブレが少なくなります。一方で定率法は、資産を使い始めた初期に償却費を多く計上できるため、投資直後の負担感を抑えつつ、早い時期に費用を多く計上できるという特徴があります。
特別な場合を除き、法人がコピー機を含む多くの減価償却資産を処理する際は、定率法を採用するケースが一般的です。ここからは、定率法の計算イメージを具体的な数字で見ていきましょう。
定率法では、期首残高に「償却率」を掛けることで、その年の減価償却費を計算します。
例として、コピー機を200万円で購入したケースを考えてみます。国税庁の耐用年数表によると、コピー機(複写機)の耐用年数は5年です。
定率法の計算では、次の3つの数字を参照します。
参考:国税庁「減価償却資産の償却率等表」
まず、一定額以上は必ず償却できるようにするため、償却保証額(取得原価×保障率)を計算します。
通常は、期首残高に償却率を掛けて減価償却費を計算します。しかし、そのまま計算を続けると将来償却保証額(取得原価×保障率)を下回ってしまう年度が出てくるため、一定のタイミングから改定償却率に切り替えて計算します。
上記の例では、4年目以降は通常の償却率0.4で続けると償却保証額を下回るため、4年目から改定償却率0.5を使用しています。
なお、定率法の償却限度額は「改定取得価額×改定償却率」で求めます。ここでいう「改定取得価額」とは、最後に通常の償却率を使って計算した年度の期末残高(この例では3年目の43万2,000円)です。
したがって、償却限度額は43万2,000円×0.5=21万6,000円となり、5年目はこの償却限度額から残存簿価1円を差し引いた金額を最終年度の減価償却費として計上します。
実務上の細かい適用や計算は、必ず顧問税理士や会計ソフト・専門家の指示に従う前提で、「定率法は初年度に多く、年数が経つほど償却額が減る」というイメージを押さえておくとよいでしょう。
特別償却とは、一定の条件を満たす設備投資について、初年度に通常の減価償却費とは別枠で、追加の償却(費用計上)を認める制度です。
通常、資産は決められた耐用年数に沿って償却しますが、特別償却を使うと、初年度に「増し分」を上乗せして償却できるため、その年度の利益を抑え、法人税の負担を軽くしやすくなります。トータルで償却できる額(取得原価)は変わりませんが、費用計上のタイミングを前倒しできる点がポイントです。
特別償却が利用できるかどうかは、購入する資産の種類や利用目的、企業規模などが、各種税制の要件に当てはまるかで決まります。
たとえば「中小企業投資促進税制」では、条件を満たす設備について、初年度に通常の減価償却費に加えて取得価額の30%を特別償却費として追加で計上できます。これにより、その年度の課税所得を抑え、法人税の負担軽減を図ることが可能です。
実際にどの制度を使えるか、特別償却と税額控除のどちらを選ぶべきかは、他の投資計画や利益水準とのバランスで変わります。適用前に顧問税理士や専門家へ相談しながら検討しましょう。
複合機(コピー機)を導入する際の税金面の考え方や税額控除については、複合機(コピー機)の税額控除でも詳しく解説しています。
特別償却は、うまく使えば資金繰りや法人税負担の平準化に役立つ一方で、「前倒しで償却するだけ」という性質ゆえの注意点もあります。
制度のイメージだけで判断すると、「その年は助かったものの、翌年度以降の減価償却費が少なくなった」といった状況も考えられます。
ここでは、特別償却のメリットとデメリット(注意点)について分かりやすく解説します。
特別償却の最大のメリットは、初年度に減価償却費を前倒し計上できることで、資金繰りや法人税の負担を調整しやすくなることです。
設備投資はキャッシュアウトが大きくなりがちですが、特別償却を組み合わせることで、投資直後の資金繰り悪化をある程度やわらげることが期待できます。
特別償却は、原則として「購入した初年度」に使える制度です。
たとえば、1,000万円の設備投資を行い、30%の特別償却が認められるケースを考えてみましょう。
設備を購入した直後は手元資金が減りやすいため、購入年度の税負担を軽くし、納税のタイミングを実質的に後ろへずらせる効果は、資金繰りの安定にもつながります。また、特別償却であらかじめ費用計上しておくことで、翌期以降の減価償却費はその分少なくなります。
購入した初年度の利益が少ない場合など、「特別償却を満額取ってしまうと赤字が大きくなりすぎる」というケースもあります。
通常の減価償却は「繰り越し」という考え方がありませんが、特別償却については、一定の条件のもとで「特別償却不足額」を1年間だけ繰り越すことが認められています。
たとえば、取得価額1,000万円・特別償却30%のケースで、初年度に認められる償却枠が次のようなイメージだったとします。
このとき、利益水準などを踏まえた結果、初年度に以下のような選択をすることもあります。
「初年度にどこまで費用計上するか」をある程度コントロールできるため、利益計画や資金繰りを見ながら柔軟に調整したい企業にとっては大きなメリットといえます。
一方で、特別償却には「前倒しで償却するだけ」という性質ならではの注意点もあります。制度のイメージだけで判断してしまうと、「トータルで見たときには思ったほど得をしていなかった」というケースも出てきます。
特別償却は購入した初年度の節税効果が高いものの、耐用年数全体で見たときの「総額としての償却額」は変わりません。
仮に、取得価額200万円・耐用年数5年・定率法の対象設備について、30%の特別償却が認められるケースを簡略化して比較すると、次のようなイメージになります。
特別償却を行うことで、3年目以降は改定償却率を使う必要が出てきて、結果的に4年目でほぼ全額を償却し終える形になります。「早く償却できる」という意味ではメリットですが、耐用年数5年トータルで見たときの償却額の合計は、通常の減価償却だけの場合と変わりません。
また、特別償却を使うと、2年目以降の計算がやや複雑になりやすい点にも注意が必要です。会計処理の手間や、決算数値の見通しなども踏まえて検討しましょう。
特別償却を利用できる制度はいくつかありますが、恒久制度ではなく、国の政策や税制改正の方針によって内容が変わったり、終了したりするものがあります。
実際に、過去には特別償却が認められていた以下のような制度が終了しています。
現在も「中小企業投資促進税制」「地域未来投資促進税制」「中小企業防災・減災投資促進税制」などで特別償却が認められていますが、適用期限や対象設備、償却割合などは税制改正によって見直される場合があります。
具体的に活用を検討する際は国税庁や中小企業庁などの情報で最新の適用条件や期限を確認したうえで、顧問税理士や会計事務所にも相談することをおすすめします。
特別償却・即時償却・税額控除は、いずれも設備投資に関する税負担を軽減する仕組みですが費用(減価償却)を前倒しするのか、税額そのものを減らすのかが異なります。
制度ごとの特性を理解せずに選ぶと、「初年度は楽になったが、その後の減価償却費が残っていない」「法人税額が少なく、税額控除を活かし切れない」といったミスマッチが起こる可能性があります。
ここでは、特別償却と即時償却、税額控除の違いについて分かりやすく解説します。
特別償却が「取得価額の一部を初年度に上乗せ計上する仕組み」であるのに対し、即時償却は要件を満たす設備について、その年に取得価額の全額を費用計上できる仕組みです。
特別償却は、中小企業投資促進税制などを利用して、通常の減価償却費に一定割合(例:30%)を上乗せして計上する方法です。一方、中小企業経営強化税制の対象設備では、要件を満たすことで取得価額の全額を購入年度に費用計上できる場合があります。
即時償却の最大のメリットは、購入年度に減価償却費を一気に計上することで、その年の法人税負担を大きく抑えられることです。
設備投資はキャッシュアウトのインパクトが大きくなりがちですが、即時償却を利用すれば、次のようなメリットが期待できます。
今後も設備投資や事業拡大を計画しており、「当面は手元資金を厚く確保しておきたい」中小企業にとっては、即時償却は検討価値の高い選択肢といえます。
一方で、即時償却には特別償却以上に気をつけたいポイントがあります。
「購入年度の利益がどれくらい出そうか」「翌年度以降にも安定して利益が出そうか」といった収益の見通しを踏まえたうえで、特別償却と即時償却のどちらを使うか検討することが重要です。
特別償却や即時償却が「費用(減価償却)を前倒しして利益を減らす制度」であるのに対し、税額控除は「計算された法人税額から、一定額を直接差し引ける制度」です。
法人税は、収入金額から減価償却費やその他の必要経費を差し引いた「課税所得」に税率をかけて算出します。特別償却はこの「課税所得」を減らす方法ですが、税額控除は、算出された法人税額から一定割合を直接減らす仕組みです。
同じ制度における特別償却と税額控除は、原則としてどちらか一方を選択します。「中小企業経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」などで利用できる場合があります。
ただし、税額控除できるのはその事業年度の法人税額の20%相当額までと決められています。法人税額が100万円であれば、控除できる上限は20万円まで、というイメージです。
税額控除のメリットは、利益水準に応じて、法人税額そのものをダイレクトに減らせることです。
特別償却のように減価償却費を前倒しするのではなく、すでに計算された法人税から控除額を直接差し引けるため、節税効果が分かりやすい制度といえます。
さらに、税額控除には次のような特徴があります。
たとえば前述の対象設備の例で、購入した年の法人税額が50万円だった場合、税額控除14万円のうち10万円(50万円×20%)はその年に控除できます。残りの4万円は、翌年度の法人税額が十分にあれば控除可能です。
税額控除を検討する際には、対象となる企業の条件や法人税額の水準に注意が必要です。
長期的に法人税の総額を抑えたい場合は税額控除のほうが有利になるケースもありますが、「当期の利益水準」「設備投資のタイミング」「今後の投資計画」などを総合的に見て、特別償却・即時償却とどれを選ぶか検討することが重要です。
制度ごとに「いつ・何を・どこまで前倒しするのか」が異なるため、設備投資の目的や利益計画、資金繰りの状況を踏まえて、特別償却・即時償却・税額控除のどれを選ぶかを税理士などの専門家と一緒に検討するのが安心です。
特別償却や税額控除などの税制を活用できれば、設備投資に伴う税負担を抑えられます。ただし、利用できる制度は企業や設備によって異なるため、具体的な適用可否は税理士などの専門家へ確認することが大切です。
また、コピー機・複合機の導入コストを抑える方法は、税制の活用だけではありません。自社の業務に必要な性能を見極め、予算に合った機種や導入方法を選ぶことでも、無駄なコストを抑えられます。
とはいえ、コピー機・複合機は機種が多く、価格や機能、契約条件もさまざまです。どこまでの性能が必要なのか、どの導入方法が自社に合っているのかを比較するのが難しい場合は、OFFICE110にお気軽にご相談ください。
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特別償却は、対象となる設備を取得した初年度に、通常の減価償却費へ一定額を上乗せして費用計上できる制度です。購入年度の課税所得を抑え、設備投資直後の資金繰りを調整しやすくなります。
利用を検討するときは、企業規模だけでなく、導入する設備が制度の対象か、どの程度の利益が見込まれるか、特別償却・即時償却・税額控除のどれが適しているかを確認することが大切です。
一方で、特別償却は長期的な総償却額を増やす制度ではなく、費用を計上する時期を前倒しする仕組みです。また、税制は改正されることがあるため、適用時点の対象設備・適用期限・取得方法などを確認する必要があります。
特に、デジタル複合機は現在の中小企業投資促進税制では対象外です。複合機の導入時に別の税制を利用できる可能性はありますが、設備や計画ごとに条件が異なるため、具体的な適用可否や申告手続きは税理士などの専門家へ確認しましょう。
なお、コピー機・複合機の税務判断とは別に、導入コストや機種選びで迷っている場合はOFFICE110へご相談ください。印刷枚数・利用人数・必要な機能・設置環境・予算を確認したうえで、新品・中古を含む機種選定から導入、保守までご提案します。
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