IP-PBXとは?クラウドPBXと違いを比較【仕組み・機器・費用】
近年、クラウドを活用したオフィスの電話システムである『IP-PBX』や『クラウドPBX』の導入が多くの企業で進んでいます。
これらを導入すれば、オフィスの外でも会社の電話業務が可能となりテレワークなどの柔軟な働き方が可能となりますが、具体的にどのようなシステムなのかわからない方も多いでしょう。
そこで今回は、初心者にはなかなか理解が難しい『IP-PBX』と『クラウドPBX』について詳しく知りたい方へ向けて、以下の5点をわかりやすく解説していきます。
- IP-PBXとは何か
- クラウドPBXとは何か
- IP-PBXとクラウドPBXの違い
- それぞれが向いている企業
- それぞれのおすすめサービス
電話システム選びにお悩みの企業様や、コスト面・運用面などに不安を抱えている企業様にとって有益な情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
監修者
登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:工事担任者(AI・DD総合種)/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国各地でビジネスフォン・複合機・防犯機器などのOA機器の販売や電話工事、電気工事、LAN配線工事、VPN構築を主に手掛ける。2023年には名古屋へ拠点進出。
「IP-PBX」と「クラウドPBX」とは?
まずは基礎知識から正しく理解するために、そもそも「PBX」とは何なのかご紹介したうえで、『IP-PBX』と『クラウドPBX』の特徴を図解でわかりやすく解説します。
そもそもPBXとは何か
まず「PBX(Private Branch Exchange)」とは、ビジネスフォンシステムの中核となる『電話交換機』のことで、オフィス内の電話を制御する存在です。
具体的にいうと、複数の電話回線をPBXに集約して外線の発着信をコントロールしたり、内線・外線間や内線同士の接続を制御することができます。
つまりこのPBXがあってこそ、外線の効率的な振り分けや電話機同士の内線通話、受けた電話の保留転送が可能となり、ビジネスフォンの高度な機能が使えるようになるのです。
なお、PBXと「主装置」との違いは、主装置が主に小規模オフィス向けの簡易版PBXであるのに対し、PBXはより大規模なオフィスや企業での利用を想定したシステムである点です。
- つまりPBXは、オフィスの電話業務を円滑かつ効率的にするために必要不可欠な設備だと覚えておくと良いですよ。
IP-PBXとは?
IP-PBXは、従来のPBXと同等の機能を『IPネットワーク上』で提供するもので、簡単にいうとインターネットを介してオフィスの電話機能を提供するPBXです。
IP-PBXのIPとは、インターネットプロトコル(Internet Protocol)の略で、インターネットやローカルネットワーク上でデータを送受信するためのルールや仕組みのこと。
PBXとIPの仕組みを組み合わせることで、インターネット環境さえあればどこでも、スマホやパソコンを使ってオフィスにいるのと同じように電話業務ができるようになります。
- インターネットを活用するIP-PBXなら、オフィスの外でも会社番号の発着信や内線通話ができるため、業務効率化や生産性アップにつながりますよ。
クラウドPBXとは?
次にクラウドPBXとは、IP-PBXと同様にインターネットを介してオフィスの電話機能を提供する電話システムのことです。
両者の違いはPBXの「設置場所」で、IP-PBXはオフィス内に物理的なPBXを設置する一方、クラウドPBXの場合は『クラウド上』に仮想のPBXを設置します。
これによりクラウドPBXは、「高額なPBXの購入や設置工事が不要で初期費用が安い」「導入がスピーディ」「運用・管理が簡単で拡張性にも優れる」といったメリットがあります。
クラウドPBXについてさらに詳しく知りたい方は、あわせて以下の記事をご参考ください。
- ただしクラウドPBXの中にも、完全に機器設置が不要な『完全クラウド型』と、簡易的なアダプタが必要な『機器設置型』があるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
IP-PBXとクラウドPBXの違いを4項目で比較
IP-PBXとクラウドPBXはどちらも、インターネットを通じてビジネスフォンの機能が使える点では同じですが、設置機器の有無やコスト面に違いがあります。
そこでここからは、IP-PBXとクラウドPBXの違いを4項目から徹底比較していきます。
①仕組みの違い
IP-PBXとクラウドPBXの機能やできることはほぼ同じですが、「仕組み」はやや異なるため、どのような違いがあるのか詳しく解説していきます。
IP-PBX
IP-PBXは、従来のPBXと同様にサーバーとネットワークを使って通話を管理する仕組みです。
従来のPBXが「電話線」を使用していたのに対し、IP-PBXは「インターネット回線」を利用して音声データを送受信します。これにより、スマホやパソコン、タブレットなど、さまざまなデバイスで内線通話や転送といったビジネスフォンの機能を利用できるようになります。
また、IP-PBXの核となるPBXサーバーは通常オフィス内に設置され、このサーバーがオフィス全体の通話システムを一元的に管理・制御します。
クラウドPBX
クラウドPBXは、従来のPBXやIP-PBXとは異なり、オフィス内に物理的な装置を設置する必要がありません。代わりに、クラウド上に設置されたPBXサーバーを利用します。
ユーザーはインターネットを通じてクラウド上のPBXにアクセスすることで、内線通話や転送といったビジネスフォンの機能を利用できます。
この点で、クラウドPBXはIP-PBXと同じくインターネット回線を使用しますが、物理的な機器が不要であるため、導入が容易で柔軟性が高いのが特徴です。
②設置機器の違い
IP-PBXとクラウドPBXの大きな違いと言っても過言ではない、「設置機器」について詳しく見ていきましょう。
IP-PBX
IP-PBXを導入する際には、オフィス内に専用のPBXサーバーを設置する必要があります。
このサーバーが、ビジネスフォンシステムの中核としてオフィスの全てのデバイスをつなぎ、通話の制御や内線機能の管理を行います。
IP-PBXの大きな特徴は、オフィス内で通信網を一元管理することで、高いセキュリティ性と安定した通信環境を提供できる点です。
しかし、機能を拡張したり、従業員の増加に対応したりする際には、新たな機器の追加や既存機器の交換が必要となるため、追加コストが発生しやすいというデメリットもあります。
- なお、従来のビジネスフォンのように電話線を使った物理的な配線は不要で、各端末に『IPアドレス』を割り当てて構築するんですよ。
クラウドPBX
クラウドPBXは、オフィスにPBXの設置は不要ですが、機器設置が一切不要な「完全クラウド型」と、専用のアダプタの設置が必要な「機器設置型」の2種類があります。
完全クラウド型では、物理的な機器設置が一切不要で、スマホやPC、IP電話機を直接クラウド上のPBXサーバーに接続します。ただし、完全クラウド型はインターネット環境に大きく依存するため、通信状況によっては音声の品質が低下する可能性があります。
一方のアダプタ設置型では、オフィス内に小型のアダプタを設置することで、従来の電話機をクラウドPBXに接続します。この設置は比較的簡単で、PBXのような大規模な工事は不要で、音質に関しても完全クラウド型よりも断然安定しています。
③初期費用の違い
IP-PBXとクラウドPBXは、機器設置の有無によって初期費用も大きく異なるため、ぜひ参考にしてみてください。
IP-PBX
IP-PBX導入時の初期費用は、主に『PBX本体の購入費』が大部分を占めます。
小規模なものでも20万円程度、規模や機能によっては数百万円に達することもあります。
さらに、設置や設定の工事費用も必要で、ネットワーク配線や電話機の設定など、場合によっては数十万円の追加費用がかかるケースもあるでしょう。
そのため、企業の規模やニーズによって総コストは異なりますが、初期費用が高額になる可能性がある点に留意しておく必要があります。
クラウドPBX
機器設置の必要がない「完全クラウド型」の場合、オフィスに物理的な機器の設置も業者による工事も必要ないため、初期費用を大幅に抑えることが可能です。
小型のアダプタを設置する「機器設置型」の場合は、専用のアダプタを購入またはレンタルする必要があり、それに伴う設置作業費がかかりますが、IP-PBXと比べると大幅に抑えられます。
PBX本体の高額な購入費や大掛かりな工事が不要である点からも、クラウドPBXは、初期投資をなるべく抑えたい企業に最適な選択肢といえるでしょう。
④ランニングコストの違い
では最後に、IP-PBXとクラウドPBXのランニングコストはどのくらい異なるのかご紹介します。
IP-PBX
IP-PBXのランニングコストには、PBXサーバーのリース料金、サーバーやシステムのアップデート、セキュリティ費用、外線通話料などが含まれます。
運用・管理はメーカーに保守費用を支払って行う場合と、自社で行う場合があり、自社で保守する場合は保守費用の支払いはありませんが、故障すると修理費用がかかります。
また、機能拡張や端末の増設に伴うPBXのグレードアップ、経年劣化や故障にともなうPBXの交換には、再び高額な費用がかかることがあるため予算管理が重要です。
クラウドPBX
クラウドPBXのランニングコストは、主に月額利用料、外線通話料、アダプターのリース料金(機器設置型の場合)などです。
月額料金には、1端末あたりに発生する「ライセンス料金」や通話録音などの機能追加にかかる「オプション料金」などが含まれ、利用人数やオプションの数によってコストが変動します。
さらにこれらの費用はメーカーやサービスによって異なるため、導入前にしっかりと比較検討してトータルコストの見積もりを行い、長期的な視点での費用対効果を検討することが重要です。
クラウドPBXの費用について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
IP-PBXとクラウドPBXのどちらを選ぶべき?
IP-PBXとクラウドPBXの違いをご紹介しましたが、「自社では実際どちらが合っているのかわからない…」とお悩みの方も多いでしょう。
そこで続いては、それぞれの特徴を踏まえた上で、IP-PBX・クラウドPBXそれぞれをおすすめしたい企業の特徴を解説していきます。
IP-PBXがおすすめの企業
IP-PBXがおすすめなのは、以下のような企業です。
①通話品質にこだわりたい
IP-PBXは、専用サーバーをオフィス内に設置し、安定したネットワーク環境を構築するため、通話品質を重視する企業に最適です。
②複数拠点で導入したい
複数の拠点を持つ企業では、IP-PBXを活用することで、各拠点を統合した内線ネットワークを構築でき、拠点間の通話コストを削減できます。
③利用端末が多い
多くの端末を接続して利用する場合でも、中〜大規模向けであるIP-PBXなら効率的に管理でき、拡張性にも優れています。
④既存のPBXと併用したい
すでに導入されている従来のPBXと併用し、徐々にIP-PBXへ移行したい企業にも対応可能です。
⑤社内にITリソースがある
自社でITインフラを管理するリソースがある企業では、IP-PBXの運用・管理を自社内で行い、コストを抑えつつ安定した運用が可能です。
クラウドPBXがおすすめの企業
一方、クラウドPBXがおすすめの企業は、以下のとおりです。
①初期費用を抑えたい
クラウドPBXは物理的な機器設置が不要なため、初期費用を大幅に抑えることができます。小規模な企業やスタートアップにも適しています。
②とにかく急ぎで導入したい
クラウドPBXはインターネット経由でサービスを提供するため、導入が迅速に行えます。急なオフィス開設やシステム刷新にもおすすめです。
③段階的に電話システムを入れ替えたい
導入ハードルが低くリスクも少ないため、現行の電話システムを一度に全て置き換えるのではなく、段階的に新しいシステムに移行したい企業にも適しています。
④まずはクラウド電話を試してみたい
クラウドPBXはリーズナブルなプランが提供されており、初期投資が少なく済むため、クラウドベースの電話システムを試験的に導入したい企業にも最適です。
IP-PBX・クラウドPBXのおすすめサービス4選
IP-PBXとクラウドPBXの違いを理解し、どちらが自社に適しているかがわかってきたら、次に悩むのは「具体的にどのサービスを選ぶべきか」です。
そこで最後に、IP-PBX・クラウドPBXのおすすめサービスをそれぞれ厳選してご紹介します。
IP-PBXのおすすめサービス
IP-PBXの導入を検討する方におすすめのサービスは「MOT/PBX」と「ひかりクラウドPBX」の2つです。
自社開発で圧倒的な信頼度「MOT/PBX」
(画像引用:https://www.mot-net.com/motpbx)
MOT/PBXは、株式会社バルテックが自社開発した次世代型ビジネスフォン(IP-PBX)です。
中小企業から内線数が2,200を超える大手建設業、官公庁まで幅広い企業に導入されており、その信頼性は高く評価されています。
MOT/PBXが支持される理由は、15年以上の開発研究により実現した業界最高峰の通話品質と、多彩な機能による電話業務のデジタル化支援。これにより企業のコミュニケーションを円滑にし、業務効率化やDX推進に大きく貢献しています。
そしてまさにシリーズ累計27,000社以上の導入実績が、このサービスの信頼性と品質を物語っており、信頼性の高い通信インフラを求める企業におすすめの選択肢となっています。
安定した通話品質「ひかりクラウドPBX」
(画像引用:https://business.ntt-east.co.jp/service/pbx/)
「ひかりクラウドPBX」は、NTT東日本が提供するクラウド型ビジネスフォンシステムで、物理的なPBX機器を設置せずに運用できるのが特徴です。これにより、初期費用を抑えつつ、迅速に導入が可能です。
特にNTT東日本の強力なインフラによる信頼性と安定性が大きな強みで、地方の拠点や遠隔地でも高品質な通話が確保されています。さらに、クラウド上で管理・設定が行えるため、運用の手間を大幅に軽減できます。
クラウドならではの柔軟な拡張性もあり、従業員数の増減や拠点の増設に対応しやすく、リモートワークにも適応しています。企業の成長や現代の働き方に対応したシステムとして、「ひかりクラウドPBX」は非常に優れた選択肢です。
クラウドPBXのおすすめサービス
では次に、クラウドPBXの導入を検討する方におすすめのサービスは「OFFICE PHONE」と「モバビジ」の2つです。
低価格・高機能でコストパフォーマンス抜群「OFFICE PHONE」
「OFFICE PHONE」は、業界最安値のリーズナブルな料金設定でありながら、音質と安定性を徹底的に追求したクラウドPBXサービスです。長年の研究開発により、ビジネスフォンと同等のハイクオリティな音声品質を提供し、低価格ながらも高いパフォーマンスを実現しています。
さらに、CTI(顧客情報表示)などの電話業務に必要な機能が標準で備わっており、ニーズに応じて柔軟に活用することが可能。これにより、個人事業主や中小企業から、大規模コールセンターに至るまで、幅広いビジネスシーンで導入されています。
コストパフォーマンスの高さに加え、質の高い音声通話と充実した機能が、企業のコミュニケーションを効率化し、ビジネスの成長をサポートし。「OFFICE PHONE」は、価格と品質の両面で優れた選択肢であり、あらゆる企業のニーズに応えることができるサービスです。
業界最高峰の通話品質「モバビジ」
(画像引用:https://www.mobabiji.jp/)
「モバビジ」は、初期費用と初月の月額費用が無料であるため、導入コストを抑えたいスタートアップ企業や中小企業に非常に適したクラウドPBXサービスです。
この手軽さに加えて、音声品質は総務省の判定基準で最高峰の「クラスA」を達成しており、高い音質が保証されています。さらに一般的なクラウドPBXと異なり、インターネット網を通らず独自の回線を使用しているため、途切れにくく安定しやすい点も大きな特徴です。
導入のしやすさと優れた音質が評価され、すでに累計6,000社以上の企業が「モバビジ」を導入しています。コストを抑えつつも、質の高い通信インフラを求める企業にとって、「モバビジ」は非常に魅力的な選択肢です。
まとめ
IP-PBXとクラウドPBXは、どちらもインターネット回線を利用した柔軟で効率的な通信環境を提供しますが、PBXの設置場所により、初期費用や保守管理に違いがあります。自社に最適な電話システムを選ぶためには、これらの違いを正しく理解して比較検討することが重要です。
最後に…
- まずはクラウドベースの電話がどんなものなのか試してみたい
- クラウド電話のプロに気になることを相談してみたい
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