電話加入権とは?特徴や費用など基本知識を分かりやすく解説
NTT東西のアナログ回線を新規で契約する場合、「電話加入権」の購入が必要になります。
この電話加入権は、税込3万9,600円と高額です。
個人ユーザーであれば、固定電話の設置を避けてスマートフォンのみで対応することも可能です。
ただし、法人の場合は円滑な事業運営と対外的な信頼性のために、固定電話を導入する必要になる場合が多いでしょう。
そこで、本記事では電話加入権の概要のほか、固定電話の導入を検討する際の節約のポイントや不要になった加入権の扱い方についても解説。
さらに、電話加入権を必要としない代替サービスについても紹介していきます。
この記事を読めば、電話加入権の有無にかかわらず、自社に最適な電話サービスを選択できるようになるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
監修者
千々波 一博
(ちぢわ かずひろ)
保有資格:Webリテラシー/.com Master Advance/ITパスポート/個人情報保護士/ビジネスマネージャー検定
2004年から通信業界で5年間営業として従事。その後、起業して他業種に進出。OFFICE110に営業で入社し、月40~60件ほどビジネスホン・複合機・法人携帯などを案内。現在は既存のお客様のコンサルティングとして従事。
2004年から通信業界で5年間営業として従事。その後、起業して他業種に進出。OFFICE110に営業で入社し、月40~60件ほどビジネスホン・複合機・法人携帯などを案内。現在は既存のお客様のコンサルティングとして従事。
そもそも電話加入権とは
まずは、「電話加入権」について基本的な知識を解説します。
電話加入権の定義や内容をわかりやすくご紹介しますので、参考にしてください。
電話加入権とは 「固定電話を利用のために必要な権利」
「電話加入権」とは、固定電話を利用するために必要な権利のことです。
通常、電話を利用する際には毎月の基本料金がかかりますが、固定電話ではその他に初期費用も支払う必要があります。
例えば、ゴルフクラブやコストコなどを利用するためには会員権が必要のように、固定電話の導入する場合にも「電話加入権」という「会員権」が必要なのです。
この会員権を取得するには、初期費用を支払う必要があります。
初期費用として支払うものが「施設設置負担金」と呼ばれるものです。この負担金を支払うことで、電話加入権を取得できます。
まとめると以下の流れになります。
施設設置負担金の支払い → 電話加入権の取得 → 固定電話の利用
なお「電話加入権を支払う」といった言い方がされることもありますが、実際に料金が発生するのは「電話加入権」ではなく「施設設置負担金」です。
ただし、両者は一般的に同義的に見られているため、本記事では「電話加入権=施設設置負担金」として解説を続けます。
電話加入権はなくなる?2024年のIP網移行について
結論から言うと、現時点で、電話加入権が消滅する予定はありません。
NTTによると、2024年より電話システムが一部刷新され、従来とは異なる電話サービス(メタルIP)が始まります。
2024年に終了するのは、「PSTN」と呼ばれる公衆交換電話網です。
PSTNは電話サービスを提供するために長年使われてきたインフラですが、人材不足や部品不足などで維持管理が難しくなってきたため、IP網に取って代わることになりました。
これにより一部の関連サービスは終了しますが、加入電話も『INSネット』(NTTのISDN回線の名称)も引き続き存続します。
つまり、電話加入権についても2024年以降続くということです。
実際には、大きな変化があるように感じられるかもしれませんが、ユーザーがすることはそれほど多くありません。
- 変化は主にNTT側にあります。ユーザーは2024年以降も従来通りに加入電話やISDN回線の通話機能を利用できます。
電話加入権の特徴
電話加入権の基本知識を把握できたところで、ここからは特徴をご紹介します。
さまざまな特徴がありますが、おおまかに以下の3点を押さえておきましょう。
- 月々の基本料金が抑えられる
- 電話加入権は利用休止・一時中断・解約ができる
- 申し出ないと権利が消滅する
それぞれ解説します。
月々の基本料金が抑えられる
電話加入権の1つ目の特徴は、月々の基本料金が抑えられることです。
NTTが提供する固定電話が利用できるプランには、以下の2種類が存在します。
- 電話加入権が必要なプラン
- 電話加入権が不要なプラン(『加入電話・ライトプラン』『INSネット64・ライト』)
先ほど「電話加入権は固定電話を利用するために必要な権利」とご紹介しましたが、じつは②のように、電話加入権を支払わなくても固定電話を利用できるプランは存在します。
ただし電話加入権が必要なプラン①は、不要なプラン②よりも月額利用料金が少々安くなる分お得です。
NTTは電話加入権について以下のように説明しています。
この施設設置負担金は、加入電話等のサービス提供に必要な弊社の市内交換局ビルからお客さまの宅内までの加入者回線の建設費用の一部を、基本料の前払い的な位置付けでご負担していただくものであり、お客さまがお支払いいただいた額を加入者回線設備の建設費用から圧縮することにより、月々の基本料を割安な水準に設定することでお客さまに還元させていただいており、解約時等にも返還いたしておりません。
出典:「施設設置負担金についてのご説明」NTT東日本
このように、電話加入権を取得した場合の費用は設備コストに回されます。
つまり、電話加入権を取得したユーザーは、設備コストに充当されるお金を先に支払っているため、NTTから代わりに利用料金の割安還元を受けられるのです。
一方で、電話加入権を取得していないユーザーは、その費用を支払っていないため割引還元を受けられません。
端的に言えば、「電話加入権を支払うと月額料金が安くなり、支払わないと代わりに月額料金が高くなる」というイメージです。
電話加入権は利用休止・一時中断・解約ができる
電話加入権の2つ目の特徴が、利用休止・一時中断・解約ができることです。
加入電話・ISDN回線をやめて光電話を契約するなど、電話加入権の必要がなくなった場合、ユーザーは契約を解除するか、利用を停止できます。
各手続きの特徴は以下のとおりです。
概要 | 手続き後の月額利用料 | 再開の可否 | 再開後の電話番号 | |
---|---|---|---|---|
解約 | 電話加入権を手放すこと | なし | 不可 | - |
利用休止 | 利用の停止 最大10年間まで (5年ごとの更新が必須) |
なし | 可能 | 新しい電話番号 |
一時中断 | 再開申込まで停止 | あり | 可能 | 再開前と同じ番号 |
解約手続きや利用休止手続きをすると、月額利用料金の支払いを停止できます。
もし二度と電話加入権を使わないか、当面使う予定がない場合は、コストを抑えるために解約か利用休止の手続きを行うと良いでしょう。
利用休止手続き後に再開することも可能ですが、再開後は以前の電話番号を使えなくなる点に注意してください。
一方、「一時的に停止したいけれど、同じ電話番号を保持しておきたい」という場合は、一時中断の選択も可能です。
この場合、再開時に同じ番号を利用できます。
ただし、一時中断では月額利用料金がかかることに注意してください。
申し出ないと権利が消滅する
3つ目の特徴として、電話加入権の権利は申し出ないと消滅してしまうことです。
利用休止手続きをする場合、定期的に更新しなければ権利がなくなります。
そのため、休止期間を延長するためには5年ごとに手続きが必要となり、延長手続きを忘れると権利が消滅する可能性があります。
例えば、2024年1月に利用休止手続きをした場合、5年後の2029年1月に2度目の手続きをしなければ、2034年1月までしか休止期間は延長されません。
電話加入権を持続するためには休止後の延長手続きを忘れずに行いましょう。
なお、一時中断手続きには継続期間の上限はありません。
電話加入権に関する費用と返金について
ここからは、電話加入権の取得にかかる費用について解説します。
また、電話加入権を手放した場合に返金処理されるかどうかもあわせてご紹介します。
電話加入権の購入費用はいくら?
電話加入権の購入費用は、税込3万9,600円です。
以前は2倍以上の金額がかかっていたため、現在は大幅に料金が引き下げられています。
それでも、初期費用として4万円近く支払うのは大きな出費に感じるかもしれません。
もし初期費用をできるだけ抑えたいのであれば、電話加入権が不要のプランを選択する手もあります。
こちらのプランの名称は以下のとおりです。
- 『加入電話・ライトプラン』:加入電話(アナログ回線)用のプラン
- 『INSネット64・ライト』:ISDN回線用のプラン
これらのプランの場合、電話加入権を購入する必要はありません。
利用できるサービスは、電話加入権が必要なプランと同等です。
ただし先述したとおり、月額利用料金が割高になります。また工事費用が発生する点にもご注意しましょう。
各種費用を表にまとめると、以下のようになります。
加入電話 | 『加入電話・ライトプラン』 | 『INSネット64』(ISDN回線) | 『INSネット64・ライト』 | |
---|---|---|---|---|
契約料 | 880円 | |||
施設設置負担金 | 3万9,600円 | – | 3万9,600円 | – |
工事費 | – | 2,200円 | – | 2,200円 |
月額利用料金 (事務用) |
3級取扱所:2,750円 2級取扱所: 2,640円(プッシュ回線)2,585円(ダイヤル回線) 1級取扱所: 2,640円(プッシュ回線) 2,530円(ダイヤル回線) |
3級取扱所:3,025円 2級取扱所: 2,915円(プッシュ回線) 2,860円(ダイヤル回線) 1級取扱所: 2,915円(プッシュ回線) 2,805円(ダイヤル回線) |
3,883円 | 4,158円 |
※料金は税込
電話加入権が必要なプランと不要なプランを比較すると、必要なプランの方が月額利用料金がわずか275円安くなります。
しかし、料金差はわずかであり、例えば『INSネット64』と『INSネット64・ライト』の料金を比べると、4,158円から3,883円で差額は275円です。
電話加入権の購入費3万9,600円を支払っても、割引還元される275円では元が取れるまでに12年かかります。(※工事費などは除く)
そのため、月々の割引還元を目当てに電話加入権を購入するのはあまり得策ではありません。
電話加入権が不要なプランでも、利用できるサービスは同じなのであれば、不要プランを選んだほうがよいでしょう。
なお、NTTからではなく外部の業者から電話加入権を購入することも可能です。
楽天市場などで「電話加入権」と検索すれば、休止手続きがされたものが販売されています。
電話加入権は譲渡可能なので、「中古」の権利を売買することもできます。
- 電話加入権を安価に取得したい場合は、中古の権利を選ぶことも選択肢に入れるといいでしょう。
不要の電話加入権は売却・返金できる?
不要になった電話加入権は、売却や譲渡が可能です。
専門業者や金券ショップなどで、電話加入権の買取を取り扱っている業者がありますので、換金したい場合は問い合わせると良いでしょう。また、ネットオークションでも販売できます。
ただし、売却してもあまり高値にならないケースも多く、買取業者では約1,000円程度、オークションサイトでは約6,000円程度が一般的です。
売却する際にはいくつかの条件があり、利用休止手続き後3ヶ月以上が経過していることや、料金滞納がないことなどが挙げられます。
なお電話加入権を手放しても、NTTからの返金は行われないことに注意してください。
以下、公式コメントをご覧ください。
解約時等にも返還いたしておりません。従って、施設設置負担金は、弊社が電話加入権の財産的価値を保証しているものではありませんが、社会実態としては、電話加入権の取引市場が形成されています。
出典:「施設設置負担金についてのご説明」NTT東日本
上記の通り、「返還しない」と明記されています。したがって、あくまで外部で売却することを理解しておきましょう。
電話加入権の確認方法と解約・利用休止・一時中断する方法
自社の電話回線が電話加入権を購入して導入したものかどうかは、簡単に確認できます。
ここからは電話加入権の有無の確認方法、および不要になった場合の解約・利用休止方法を見てみましょう。
電話加入権の保有を確認する方法
電話加入権の保有状況を確認する方法は、以下のとおりです。
- 局番なしの「116」へ電話をかける
- 0120-116-000(携帯電話からの発信)
【NTT東日本】
受付時間:午前9時~午後5時
年中無休(年末年始12/29~1/3を除く)
- 局番なしの「116」へ電話をかける
- 0800-2000116(携帯電話からの発信)
【NTTT西日本】
受付時間:午前9時~午後5時
年中無休(年末年始12/29~1/3を除く)
電話加入権の解約・利用休止・一時中断する方法
電話加入権を解約・利用休止・一時中断する方法は、以下のとおりです。
- NTTの公式サイトから申し込む
- NTTへ電話して申し込む
公式サイトから申し込む場合は、手続き内容に応じて、それぞれ以下のリンクよりお進みください。
電話から申し込む場合は、以下の電話番号へかけましょう。
- 局番なしの「116」
- 0120-116-000(携帯電話からの発信)
【NTT東日本】
- 局番なしの「116」
- 0800-2000116(携帯電話からの発信)
【NTTT西日本】
手続きには、以下のような情報を揃えておきましょう。
- 電話番号
- 契約者の名義
- 電話番号を利用している住所
- 支払い情報
手続きにかかる費用(工事費)は以下のとおりです。
停止する費用 | 再開する費用 | |
---|---|---|
解約 | – | – |
利用休止 | 2,200円 | 2,200円~ |
一時中断 | 2,200円~ | 2,200円~ |
※工事費は、派遣工事が不要なら2,200円で、必要な場合は1万1,000円ほどかかります。
電話加入権の費用を抑える2つの方法
電話加入権を購入せず、お得に電話を利用する方法は次の2つです。
- 光電話に切り替える
- 直収電話を契約する
これらの方法を利用すると、コストを削減しつつ、電話をお得に利用できます。
ひかり電話に切り替える
電話加入権を購入せずに電話を利用する1つの方法が、「ひかり電話」への切り替えです。
「ひかり電話」とは、NTTの光回線を利用したIP電話サービスです。
従来の電話回線と比べて通話料金が安く設定されているため、通信コストの削減が期待できます。
さらに、番号ポータビリティの仕組みを使えば、現在使用中の電話番号をそのままひかり電話で継続して利用可能です。
※ただし、番号ポータビリティは NTTの加入電話かISDN回線での番号のみ対応しています。
なお、ひかり電話への乗り換えは、新規で光回線を引く場合は1~2ヶ月ほどかかります。
一方、既に光回線をお持ちの場合は、番号ポータビリティであれば2週間前後で完了するでしょう。
- ただし、期日はNTTのスケジュール次第ですので、詳細はNTTに確認が必要です。
オフィスの電話をひかり電話に切り替えた場合のメリット
オフィスの固定電話をNTTのひかり電話に切り替えると、以下のようなメリットが得られます。
- 電話加入権を購入する必要がない
- 電話番号を変えずにそのまま利用できる
- 基本料金が安い(加入電話事務用3級局は税込2,750円、『ひかり電話A』は税込1,210円)
- 全国一律の通話料金が適用されるため通話料削減につながる
- クラウドPBX※を利用できる
ひかり電話への切り替えは、電話加入権が不要で通話料金が削減できます。この点は、オフィスの固定電話運用にとって大きなメリットと言えるでしょう。
※クラウドPBXは次世代のビジネスフォンで、場所を問わずスマホで電話業務が可能になります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
直収電話『ソフトバンクおとくライン』を契約する
電話加入権を購入せずに電話を利用する2つの方法が、直収電話への契約です。
「直収電話」とは、NTT東西以外の通信会社が提供する固定電話サービスのことです。
一般的に「電話=NTT」とイメージされがちですが、実はNTT以外でも固定電話サービスを利用することができます。
主な直収電話サービスには以下のようなものがあります。
- ソフトバンク『おとくライン』
- NTTコミュニケーションズ『プラチナ・ライン&世界割』
- J:COM『J:COM PHONE』
直収電話の契約にはおおよそ1〜2週間ほどの期間がかかりますが、次のようなメリットがあります。
- 電話加入権の購入が不要
- 電話番号を変更せずにそのまま利用可能
- 基本料金が比較的安価
- 一律の通話料金設定で通話コストを抑えられる
ただし、0120番号のフリーダイヤルは利用できないなどの注意点にも留意が必要です。
ひかり電話やビジネスフォンのご相談は実績豊富な『OFFICE110』へ
ひかり電話やビジネスフォンに関するご相談は、実績豊富な「OFFICE110」にご相談ください。
当社はビジネスフォンやその他のオフィス機器を提供する企業です。
12万社以上を超えるお客様への導入実績があり、豊富なノウハウを持っています。
「OFFICE110」の主なサービス・強みは以下の通りです。
- 加入電話やひかり電話、直収電話に対応
- 経験豊富な担当者が最適なオプションをご提案
- 有資格の工事専門スタッフが全国対応
- 全国に拠点があり、導入工事や入れ替えがスムーズ
- クラウドPBX『OFFICE PHONE』の導入が可能
「通話費用を抑えたい」「電話業務の効率化を図りたい」など、オフィスの課題解決に向けてのご要望は、「OFFICE110」におまかせください。
- まずは公式サイトをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。専門担当者がご要望に丁寧にお応えいたします。
まとめ
「電話加入権」とは、NTTの固定電話を利用するために必要な権利です。
施設設置負担金を支払うことで取得できます。
2024年以降、電話インフラの状況は変化しますが、電話加入権は今後も継続する見通しです。
NTTの加入電話やINSネットを使う場合は、加入権が必要となります。
ただし、加入権不要の『加入電話・ライトプラン』や『INSネット64・ライト』など、同等のサービスが利用できるプランもあります。コスト面でも検討の余地があります。
さらに、ひかり電話や直収電話サービスなどNTT以外の選択肢もあるため、自社のニーズに合わせて最適な電話サービスを選びましょう。
サービス対応エリア
日本全国スピード対応
ビジネスフォンのご提案・サポート可能エリア
当社では、新品・中古ビジネスフォンのご提案・保守サービスを提供しております。地域によって、サービス内容や訪問可能エリアが異なる場合がございます。詳しくは、お気軽にお問い合わせください。
北海道 | 北海道(札幌) |
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関東 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・千葉・神奈川(横浜) |
中部 | 山梨・長野・岐阜・愛知(名古屋)・静岡 |
関西 | 京都・滋賀・奈良・三重・和歌山・大阪・兵庫(神戸) |
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