セカンダリーイーサネットとは？メーカー別の利用方法と注意点を解説【お役立ち情報】 | OFFICE110

このような疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか？

セカンダリーイーサネットとは、一台の複合機で異なる2つのネットワークに接続できる技術です。

この技術の魅力は、ネットワークの冗長性を確保できることと、異なるセグメントのネットワーク間でも印刷が可能になる点にあります。

そこで本記事では、1台の複合機を使って2つのネットワークで印刷する方法や、各メーカー別の活用方法を解説します。

セカンダリーイーサネットを導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

セカンダリーイーサネットとは？

セカンダリーイーサネットとは、メインとサブとの2つの有線ネットワークの接続ケーブルをもつことです。

イーサネットとは、パソコンや複合機などのデバイスをLANケーブルで通じて接続する際に用いられる通信規格の一つです。

このセカンダリーイーサネットをプリンターや複合機などに搭載することで、一台のデバイスに2つの異なるネットワーク環境に同時に接続することが可能です。

具体的には、以下のような異なるネットワークが想定されます。

セキュリティ上の理由から、2つのネットワークを別々に運用する必要がある場合でも、セカンダリーイーサネットを搭載した複合機を利用することで、1台で両方のネットワークにアクセスが可能になります。

これにより、データ管理や通信をより効率的かつ安全に行うことができます。

セカンダリーイーサネットのメリット

セカンダリーイーサネットには、多くのメリットがあります。

そこでここからは、セカンダリーイーサネットの主なメリットについて詳しく解説していきます。

ネットワーク分離とセキュリティ強化が実現

セカンダリーイーサネットの環境を構築することで、2つの異なるネットワーク間の通信が分離されるため、セキュリティが強化されます。

具体的には、以下のケースで利用されます。

ネットワークのパフォーマンスが大幅に向上

セカンダリーイーサネット接続を利用することにより、帯域幅が増加してデータ転送能力が向上します。

帯域幅が増えることにより、一度に送信できるデータ量が増加するため、データの送受信に要する時間を効果的に短縮することが可能です。

たとえば、帯域幅が1MBから10MBに増加した場合、これは通信速度が10倍になるわけではなく、1MBのデータが10本に増えて、同時に扱えるデータ容量増えるという意味です。

このように、2つのイーサネット接続を組み合わせることで、処理できるデータ量が倍増し、ネットワークの全体的なパフォーマンスが大幅に改善されます。

ネットワークの冗長化により障害時も安心

セカンダリーイーサネットを導入することで、一方のインターネット回線に問題が生じた際でも、もう一方の回線を使用して通信を継続できます。

このように、災害時などの緊急事態に備えて、予備の通信経路を確保することを「冗長化」といいます。

つまり、セカンダリーイーサネットは、万が一のインターネットトラブル対策としても非常に効果的です。

冗長化されたネットワークでは、回線にトラブル生じた場合でも、迅速に別の正常な回線へと切り替えることが可能です。

これにより、回線トラブルが業務に与える影響を最小限に抑えることができます。

複合機におけるデバイスの利用効率がアップ

セカンダリーイーサネットを搭載した複合機では、異なるネットワーク環境においても印刷やスキャンが可能になります。

これにより、デバイスの利用効率が向上し、業務の効率化にも貢献します。

メーカー別セカンダリーイーサネットの利用方法

セカンダリーイーサネットの利用方法は、メーカー別に異なります。

ここからは、セカンダリーイーサネットの利用方法についてメーカー別にご紹介します。

富士フイルム

富士フイルムでは、オプションの「セカンダリーイーサネットキット」を複合機に搭載すれば、異なるネットワーク環境で1台の複合機の利用ができるようになります。

この2系統のネットワークポートの間にはコネクションがなく、完全に独立した状態で利用できるため、セキュリティ面でも安心して利用可能です。

具体的には、以下のような利用イメージになります。

画像引用：デジタル複合機のセキュリティー対策（富士フイルム）

通常のインターネット回線と基幹業務回線が別々になっている場合でも１台の複合機で対応できるため、省スペースやランニングコストなどの削減につながります。

Canon

キヤノンでは、セカンダリーイーサネットという名称は用いていませんが、2系統のネットワーク環境を同時に併用できます。

たとえば、主回線は従業員が使用、機能を制限した副回線はお客様に利用していただけるようなイメージのネットワーク環境構築が容易にできます。

これにより、コスト削減にもつながります。

複合機と2系統のネットワーク環境を構築するのに必要な設定の流れについては、Canonの公式サイトからご確認ください。

NEC

NECでは、オプションで「セカンダリーイーサネットカード」を複合機に搭載することで、2系統の異なるネットワーク環境に接続可能です。

引用元：NEC公式サイト

さらに、標準・オプションの2系統の有線LANに加え、オプションを追加することで、無線LANの3系統のネットワークを利用できます。

完全に3系統のネットワークは独立しているため、セキュリティも万全なので安心して利用可能です。

京セラ

京セラでは、1台で異なるネットワークに同時接続できる「ネットワークボード」で同じような環境が構築できます。

さらに、有線だけで2系統、無線を組み合わせると3系統の同時接続が可能です。

引用元：京セラ公式サイト

また、社外の方向けには、Wi-Fi Direct接続を設定することが可能なため、社内ネットワークと別に接続できます。

さらに、さまざまなモバイルプリントアプリケーションに対応しているため、同一ネットワーク上にあるモバイル端末からも簡単に印刷可能です。

セカンダリーイーサネットを利用する際の注意点

セカンダリーイーサネットを活用することで、さまざまなメリットがありますがいくつか注意点もあります。

そこでここからは、セカンダリーイーサネットを利用する際の注意点について解説します。

利用できる機能が制限される場合がある

セカンダリーイーサネット経由での通信においては、利用できる機能が制限される場合があります。

たとえば、富士フイルムの複合機でセカンダリーイーサネットキットを使用する場合は、主に以下の制限があります。

IPアドレスのセグメントは一致する必要がある

オフィス内など限られたスペース内でLAN通信するためには、IPアドレスのセグメントが一致している必要があります。

IPアドレスは4つに区切られたアドレスで、ルーターにつないだパソコンやスマホ・プリンターなどには、それぞれIPアドレスが割り当てられます。

正常に接続するためには、3つ目までの数字、いわゆるセグメントがすべて一致していなければなりません。

セカンダリーイーサネットを利用する際は、この点を確認する必要があります。

通信可能な状態としては、以下のイメージです。

「192.168.0.XX」3つ目までの数字がすべて同じ状態になります。

たとえば、プリンターだけ「192.168.1.3」であれば、LAN内での通信ができないためプリンターの印刷はできません。

デュアルスタック環境では負荷がかかる

デュアルスタック環境では、単一の機器でふたつのプロトコルが同時に動作するため、機器に負荷がかかります。

DNSサーバーや複合機から利用するサーバーの運用状況により、パフォーマンスに問題が発生する可能性が大きいです。

これにより、CPUやメモリにも負荷がかかります。

セカンダリーイーサネットに関するよくある質問

セカンダリーイーサネットに関するよくある質問について、回答します。

セカンダリーイーサネットはどの複合機モデルで利用できる？

セカンダリーイーサネットを利用できる複合機・プリンターのモデルは以下のとおりです。

メーカー	複合機・プリンターモデル
富士フィルム	「DocuWide 6057/3037」シリーズ
Canon	imageRUNNER ADVANCE 4545F / 4545 / 4535F / 4535 / 4525F / 4525
NEC	Color MultiWriter 3C751/3C751A/3C731 プリンター：Color MultiWriter 3C550/3C530、MultiWriter 3M570/3M550/3M530
京セラ	モノクロA3プリンター：ECOSYS P4060dn

最新の情報については、メーカーの公式サイトをご参考ください。

セカンダリーイーサネット非対応機種で2系統に接続する方法は？

セカンダリーイーサネット非対応機種でも2系統に接続することは可能です。

ただし、メーカーごとに接続する方法が異なります。

たとえば、リコーでは、イーサネットポートを増設するためのインターフェースボードの「拡張USBプリントサーバーユニット」を取り付けることで、セカンダリーイーサネットと同じネットワーク環境の構築が可能です。

詳しくは、リコー公式サイトの拡張USBプリントサーバーユニットを取り付けるをご参考ください。

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まとめ

セカンダリーイーサネットを複合機に搭載することで、2つの異なるネットワーク環境に1台の複合機を接続可能です。

セカンダリーイーサネットを導入することで、以下のようにさまざまなメリットが得られます。

セカンダリーイーサネットには多くのメリットがある一方で、利用できる機能に制限が生じたり、ネットワーク環境に負荷がかかったりするというデメリットもあります。

また、導入する際は、セキュリティやネットワークに関しての専門的な知識が必要です。